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サムスン移籍の理想と現実

生き残るには覚悟が必要だ

佐藤 登=名古屋大学客員教授/エスペック上席顧問(前サムスンSDI常務)
2014/08/22 00:00
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 日本の技術者が韓国や中国へ移籍すると応援メッセージどころか、「日本を捨てた」、「裏切り者」、「技術・人材流出」など、数多くの批判が上がる。日本では終身雇用の概念が根付いてきた強烈な文化があり、弊害として人材が流動しない傾向が強い。世界的に見ても、このような国は日本以外には見当たらない。

 国内企業では、業績や競争力が低下し事業撤退や事業縮小の波が押し寄せると、決まってリストラの嵐が吹き荒れる。とはいえ、企業が最後まで面倒を見て就職先を斡旋してくれることはなく、リストラ対象者が自らのルートと実力で次の行き先を探さなければならないのが実態だ。

 日本国内でも、次の受け皿があって移籍を自然に行える文化やスカウトなどで移籍できるシステムなどが最近では少しずつ増えてきたものの、移籍によって待遇面の条件が上がるケースは少ない。多くは据え置かれるか逆に悪くなってしまう。だからこそ海外へ飛び出すことが多くなるわけで、国内に受け皿があるならば海外へ脱出する人材は少なくなるはずだ。

 筆者自身、ホンダの研究開発戦略と筆者の考え方が完全に食い違ったため、2004年にサムスングループのサムスンSDIに移籍した。実際に在籍した人間から見ても、これら日本企業出身の技術者は多かったと思う。

 ただ、サムスングループへ移籍する日本人技術者にもさまざまなタイプがいる。業種もさまざま。同業種からの移籍だけではない。性格も悩み考え抜いて移籍する者、逆にあまり熟考せずに移籍する者、韓国企業文化を積極的に理解して溶け込もうとする者、逆に日本企業の文化を押し付けようとする者などがいる。結果として在籍期間も異なり、1年以内に退社してしまう者も少なくない。

 とはいえ、日本企業からサムスンに移籍した人間が、その経緯を語ることはほとんどない。今回は、その一端を紹介したい。

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