半導体の技術と業界の今と未来を、さまざまな視座にいる識者が論じる「SCR大喜利」、今回のテーマは「日本の車載半導体はどこまで強いのか」である。

 日本の半導体メーカーが絶対に負けたくない市場が、車載半導体市場である。今回のSCR大喜利では、日本の半導体メーカーの車載半導体事業が、世界の半導体メーカーとの競争の中で、どのように活路を求めて行ったらよいのか探る。今回の回答者は、いち半導体ユーザー氏である。半導体の使い手の視点から、日本の車載半導体について語っていただいた。

いち半導体部品ユーザー
某ICT関連企業
ICT関連企業で装置開発に必要な半導体部品技術を担当。装置開発側の立場だが部品メーカーと装置開発の中間の立場で両方の視点で半導体部品技術を見ている。

【質問1】日本の半導体メーカーは、今後も車載半導体での強みを維持できるのか?
【回答】いまの戦略のままでは日本の半導体メーカーの強みは維持出来ない

【質問2】日本の半導体メーカーが、車載半導体事業を維持・成長させるために、改善すべき点はどこか?
【回答】日本製の強みを活かし、かつ要求への柔軟な対応、さらには連携強化が重要

【質問3】海外の自動車メーカーを顧客とするために、日本の半導体メーカーは何をしたらよいのか?
【回答】少し良いではなく圧倒的に良いを実現し、積極的にアピールすべき

【質問1の回答】いまの戦略のままでは日本の半導体メーカーの強みは維持出来ない

 特にマイコンでは、他分野同様、車載向けに関してもARMアーキテクチャ化の流れは止められないと考える。世界の若い開発者はARMに精通してきており、車載向けの開発でも好まれる可能性が高い。また、震災以降部品のマルチソース化の意識も高まっている。海外ARMマイコン・メーカー間での連携(freescale社とSTMicroelectronics社など)は、かなりの強みになる可能性が高い。
 
 さらに、海外の自動車メーカーでFPGAが既に採用されている。これは、従来のマイコンの性能では不足であることの表れである。高性能であること、マイコン+ソフトウェアの機能実現からFPGAのハードウェア処理に移行が必須の状況に変わってきており、国内でも採用される可能性が高い。