HDD搭載のパソコン/券売機、レコーダー、POS端末、コントローラー、サーバーなどのシステム製品を停止したら、2度と起動しなくなった。そんな故障の調査を依頼されるケースが最近増えている。起動はするものの、エラーが多発し、起動不良を起こすケースもある。今回はこんな事例について紹介しよう。

HDDの故障状況

 こうした事例を対象にした調査の結果見えてきたのは、約5000時間以上稼働しているHDDの問題だ。保守メンテナンス時や停電などによるHDD停止後、あるいはエラー多発によって再起動をした後、不良が発生し、2度と起動しないのである。2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、HDD起動不良が増えたという報告もある。Serial ATA(SATA)、Parallel ATA(PATA)、Serial Attached SCSI(SAS)の各インターフェースを持つHDDに共通してみられる現象で、複数機種のHDDに発生しており、全容量帯(160G~数Tバイト)で同様の傾向が見られる。

HDDを分解調査

 起動不良のHDDを分解調査すると、(1)ヘッド破損(写真1、写真2)、(2)ヘッドが媒体に吸着(写真3、写真4)、(3)ヘッドクラッシュ(写真5、写真6)、(4)媒体表面への無数のヘッドの打痕キズ(写真7、写真8)などが観察され、多様な壊れ方をしていることが分った。

写真1 ヘッド破損
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写真2 ヘッド破損
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写真3 ヘッド吸着 (外周部)
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写真4 ヘッド吸着 (中周部)
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写真5 ヘッドクラッシュ
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写真6 ヘッドクラッシュ
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写真7(左) 媒体面ヘッド打痕、写真8(右) 媒体面ヘッド打痕
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