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エディターズ・ノート

三菱と日立の火力発電部門、真の融合に向けて

  • 大石 基之=日経ものづくり
  • 2014/08/07 00:00
  • 1/1ページ

 三菱重工業と日立製作所は両社の火力発電事業を統合して2014年2月に発足した三菱日立パワーシステムズ。2013年の売上高は、三菱重工と日立の該当部門の単純合計で1兆2400億円に達していますが、2020年には2兆円に増やす計画を掲げています。

 新会社である三菱日立パワーシステムズの設立と同時に同社の取締役社長に就任したのが、西澤隆人氏です。西澤氏は三菱重工出身で、三菱日立パワーシステムズの社長就任前は、三菱重工の取締役 常務執行役員 エネルギー・環境ドメイン副ドメイン長兼火力発電システム事業部長などを務めました。

 西澤氏は三菱日立パワーシステムズの社長を務めるに当たり、特に気を配っていることがあると言います。それは、三菱重工と日立の真の融合です。統合新会社の出資比率は三菱65%、日立35%。この差について、日立出身の社員に心配する向きがあったとのこと。そこで統合新会社が発足する前に、西澤氏は内緒で日立の拠点に行き、現場の社員と本音で話す機会を得ました。そこで西澤氏が「絶対に根に持たないから何を考えているか言ってください」と問いかけました。すると、最初に発言した女性が「私たちは35%でマイナーです。日本で言えば、お嫁に行くようなものです。日本の場合は、大体亭主が横暴で嫁に行ったらろくな扱いをされない。三菱重工もそうするのですか」と聞いてきたのです。

 西澤氏はこれを「しめた」と思い、「それはあなただけですか? それともかなりの人がそう思っているのですか?」と聞き返したら、その日立出身の女性は「ほとんどの人がそう思っています」とストレートに答えたのです。このやりとりの後、西澤氏は三菱重工に戻って幹部を集めて、一連の経緯を話した上で、「くれぐれも日立出身の人達を温かく迎えるように」と号令を出したのです。三菱日立パワーシステムズは、日立出身者が約9000人、三菱重工出身者が約1万4000人、合計約2万3000人の巨大企業です。西澤氏からすれば、日立出身の9000人のモチベーションが下がったら、「三菱重工の人間も含めて全員が損をする」(西澤氏)と考えたわけです。「大」が「小」を飲み込むのではなく、「大」が「小」の気持ちに十分に配慮することで、統合後の企業力を最大限にしようとの考えです。

 しばらく経った後に、西澤氏が日立の拠点に行くと、質問が以前とは全く違ったといいます。「こういう交流をしたい」「ガスタービンのこういうことを一緒にやりたい」など、極めて前向きになっていて、ネガティブな質問が一切なかったのです。

 日本では大企業同士の事業部門の統合にはいろいろな苦労が付き物とよくいわれます。しかし、三菱日立パワーシステムズの事例からは、統合会社を良い方向に導くのも悪い方向に導くのも、経営者の姿勢如何ということが改めて浮き彫りになりました。

 日本の製造業は今後、どのような方向に進んでいくべきか、海外のグローバル企業と戦っていくために何をすべきか――。こうした点を明らかにするため、日経ものづくりでは、2014年9月2日に東京で創刊10周年記念シンポジウム「製造業 次の一手は何か」を開催します。本記事でご紹介した三菱日立パワーシステムズ取締役社長の西澤氏にもご登壇いただきます。将来の製造業のあるべき姿を見通す上で参考になる講演や対談をご用意しました。是非ご参加ください。

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