梅雨が明けるや否や、全国的に猛暑日が続いていますが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。日本のような湿度が高い国ではその暑さは非常にこたえますが、日経ものづくりでは設計・開発・生産における革新的な技術を「熱く」追いかけていきます。最新号の2014年8月号では、そのような熱い技術がそろいました。

 最初にご紹介したいのは、性質の異なる材料を極めて強固に接合する「異種材料接合」技術を取り上げた特集1「何でもくっつける」です。自動車やスマートフォンなどの分野で、ここにきて異種材料接合技術の応用が本格化し始めました。自動車では異種金属同士など、スマートフォンなどの電気製品では樹脂と金属、さらに柔らかい材質と硬い材質の組み合わせの導入が進みつつあります。既存の方法では実現できなかったこれらの組み合わせが、部品の軽量化や機能・性能の向上、コスト削減を達成する切り札になっています。

 実は接合技術については、研究開発や使いこなしにおいて、日本が世界をリードしています。特許庁が2014年3月に公表した「平成25年度特許出願技術動向調査報告書」によれば、主要国への特許出願件数のうち、接合技術については日本が世界1位でした。接合技術は技術的に大きな挑戦を必要とする割に、普及までに時間がかかるため、短期的に利益を求めることの多い海外企業があまり参入してこない分野と考えられます。この有利さを生かして、製品設計を変えていくのに最も有利な立場にいるのが、他ならぬ日本のメーカーなのです。今回の特集1では、長年この分野を見てきた木崎編集委員と近岡副編集長が日本のメーカーの強さについて、しっかり深堀りした記事をお届けします。

 続く特集2は、自動車業界における最近のイノベーションと位置付けられるダイハツ工業の新型軽自動車「コペン」に関する長編記事です。ダイハツが2014年6月に発売したコペンは、樹脂外板を採用し、その外板を取り換え可能にすることで、あたかも服を着替えるかのように全く異なるデザインのクルマに変えられるという、従来のクルマにはなかった新しい特徴を備えています。ただし、この実現のためには、技術と組織の両面で従来の常識を覆す変革が必要でした。今回の特集2では、全9ページにわたり、どのような改革を行ったのか、高田副編集長が徹底取材で解き明かします。コペンの本質に、どこよりも深く迫った内容と自負しております。

 最後にご紹介するのは、2014年6月に東京で開催された展示会「第25回設計・製造ソリューション展」(DMS展)の詳報記事(特集3)です。今回のDMS展の話題の中心は、前年に続き、やはり3Dプリンターでした。3Dプリンターを取り巻く環境はこの1年で変化しています。装置や材料の性能・機能の向上に伴って、3Dプリンターの活用範囲が大きく広がりつつあることです。特集3では、その動向をお届けします。日経ものづくりの2014年8月号にどうぞご期待ください。