2014年7月末時点の次期iPhone(iPhone 6)のバリューチェーンの動きをみる限り、4.7型(326ppi)と5.5型(401ppi、フルHD)ともに、ドイツ証券(以下、当社)が想定した最速スケジュールに対して1カ月程度遅れている。この見方は従来通りである。ただし、6月時点に比べると部品や完成品の出荷立ち上がりがさらに遅れるリスクが高まっている、という印象だ。

4.7型は液晶モジュール部材に供給の遅れ

 4.7型向け液晶パネルは、量産立ち上げが最も早い日本のパネルメーカーのケースで、2014年5月に量産(アレイ工程のガラス投入)が始まった。ただし、後工程(モジュール)の方に、バックライト関連を中心に部材供給の遅れが見られる。一部にフィルムの仕様変更やバックライトの設計変更などの影響もあり、6月中は結局、モジュールとしての出荷はほとんどなされなかった。出荷の本格化は7月後半以降と想定していたが、7月22日時点でパネルモジュールとしての認定がまだおりていないと見られる。7月に出荷が始まったとしても、少量に終わる可能性が高い。

 残りの2社(日本と韓国1社ずつ)も順次量産を開始しており、先行メーカーから若干遅れて出荷を開始するとみられる。また、2社の液晶パネルは、主に以下の3つの理由から予断を許さない状況が続く。1)ネガ液晶材料や光配向プロセスなどの新技術を採用しており、セル工程での歩留まりが未知数、2)各社ともG6工場での生産が主体であり(一部はG5.5またはG4.5)、生産の難度が高い、3)上述のとおり、モジュール部材の動きがアレイ工程に比べて遅い。

 現時点では、7月のパネル出荷数量は最大で200万枚程度、7~9月期全体でも2200万枚程度とみている。7月~8月上旬の想定出荷分には下振れリスクがある。