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「2015年に100カ所」、商用水素ステーションの建設は間に合うのか 

小川 計介=日経Automotive Technology
2014/08/05 00:00
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 2014年7月、岩谷産業が同社中央研究所(兵庫県尼崎市)に商用水素ステーションを建設したと発表しました。これまで実証ステーションは各地で設置されていましたが、商用タイプは国内初となります。新しい水素社会への取り組みとしては歓迎すべきことですが、業界では2015年に商用ステーションを100カ所設置する目標を掲げており、このペースでは目標達成は難しい状況になっています。

 自動車メーカーとエネルギー会社は2011年1月に共同で、2015年までに燃料電池車(FCV)の量産車を発売し、水素ステーションは100カ所を整備することを表明していました。トヨタ自動車は2014年度にFCVを700万円で発売することを表明したほか、ホンダもFCVを2015年に発売する計画です。

 一方の水素ステーションは、岩谷産業やJX日鉱日石エネルギー、東京ガス、豊田通商などが建設の準備を進めているものの、現在までに1カ所が整備されたにすぎません。

 政府は商用ステーションの建設を後押しするために、補助金を交付しています。交付件数は、2013年度は18件、2014年度は現在までに24件(1次公募6件、2次公募7件、3次公募11件)となっており、合わせても42件にとどまっています。できるだけ早く100件の補助金交付を達成しないと目標には届きません。

 水素ステーションの整備が遅れているのは、用地確保やステーションの安全規制対応などに時間がかかっている面もありますが、1カ所あたり4億円といわれる導入コストも大きな要因と言われてきました。

 これに対して、NEDO新エネルギー部主任研究員の大平英二氏は「水素ステーションの設置が遅れている理由として、導入コストは大きな問題ではなくなってきている」と話します。

 政府の補助金条件を見ると、2013年度は導入コストの1/2までで最大2億5000万円にとどまっていました。2014年度は、定額で最大1億5000万円~2億8000万円までのタイプも用意しました。つまり低コストで済む簡易型の水素ステーションなどであれば、設置事業者は初期投資を大幅に抑えることも可能になりました。

 水素ステーションを広めるには時間がかかります。初期段階では、補助金を活用するのは仕方がないでしょう。補助金の条件が変わったことで、これまであきらめていた事業者でも水素ステーションの導入を検討するきっかけになりそうです。

 日経BP社は9月11~12日にかけて、FCVをはじめとした自動車産業の未来について議論する大規模セミナー「 BEYOND2020 クルマが拓く未来~これから自動車関連ビジネスはこう変わる~」を開催します。トヨタ自動車や大手エネルギー会社の講演を通して、水素社会への展望を示していければと考えております。

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