半導体の世界売上高が過去最高を記録する一方で、国内半導体メーカーの業績は不振状態から脱していない。不振の原因を探る記事やブログ、書籍が数多く登場している。「日本人は自虐ネタ好きだから」という指摘もあるが、こうした不振原因の探求に多くの方が高い関心を示していることは確かだ。
この傾向は、日経テクノロジーオンラインでもはっきりと見てとれる。日経テクノロジーオンラインの電子デバイス系サイト、すなわち、「半導体デバイス」、「半導体製造」、「EDA・ソフトウエア」、「アナログ」、「電子部品」というテーマサイトに投稿した全記事のうちで、2014年7月11日~7月31日にアクセス数が多かった上位20の記事をまとめたところ(右表)、第1位になったのは、日本のDRAMが不振に陥った経緯を分析した記事だった。
その記事のタイトルは「日本のDRAM、「安すぎる」と非難され、やがて「高すぎて」売れなくなる 汎用コンピュータの覇権をパソコンで失った理由」」である。著者は技術ジャーナリストの西村吉雄氏。この記事は、同氏が日経テクノロジーオンラインで連載していたコラム「電子立国はなぜ凋落したか」の1つである。
高品質かつ低価格を武器に日本のDRAMは一時世界市場を席巻するものの、米国からのダンピング非難を機に高品質に偏りすぎることになる。DRAMの主力応用先が汎用コンピューターからパソコンへと移ったことで、低価格化対応できなくなっていた日本のDRAMは凋落してしまったと、分析している。なお、このコラムの全内容は加筆されて、書籍として発行されている(詳しくはこちら)。
今回のランキングでは、1位以外にも国内半導体産業不振に関連した記事が選ばれた。例えば、4位。記事のタイトルは富士通、半導体生産撤退の報道にコメントである。富士通の正式発表のないうちに、半導体事業の先行きが書かれた新聞記事に対して、同社が出したコメントを紹介している記事である。正式発表は約2週間後にあった。正式発表を紹介した記事には、同社の執行役員常務 CFOを務める塚野英博氏のコメントがある。
「半導体事業の構造改革は8~9合目に達し、将来への道筋はついた。回路設計は自前で続けるが、それ以外はパートナーとの協業が望ましい」(同氏)。この方針の下、半導体子会社の富士通セミコンダクターが三重地区(三重県桑名市)と会津若松地区(福島県会津若松市)に持つ製造拠点について、2014年度第3四半期(10~12月)にそれぞれファウンドリー会社として分社化する。
ランキングの5位には、「ファウンドリー主導で決まる半導体業界の未来」というタイトルの記事が選ばれた。日経BP半導体リサーチが業界の複数の著名人に同じ質問を投げて、回答を得るコラム「SCR大喜利」発の記事である。今回は6名の著名人から回答を得た。各著名人の回答はそれぞれ記事になっており、それらをまとめた記事が、今回のランキングの5位に入った。