中国でも高齢者人口の増加が大きな問題となっている。そこにビジネスチャンスを感じる企業は多く、参入を検討している日本企業も少なくない。高齢者介護の分野では先進国である日本。日本企業にも大きなチャンスがある。しかし、日本でビジネスが成功していても、文化や商習慣などの違いは大きな壁になるだろう。このような中で、中国企業が日本企業とタッグを組んだ新しい取り組みが始まる。
長寿命化と高齢化が加速する中国
ここ数年で中国人の平均寿命は延び、70歳を超えた。WHO(世界保健機関)の推計によると、2010年時点で、中国の65歳以上の高齢者人口は1億5500万人を超えており、全人口の約11.4%を占める。2015年には1億8360万人になると予想され、約13.1%になる。中国では、高齢者を60歳以上としており、2015年には2億2100万人(全人口の約16%)を超えると予想されている。
ちなみに日本の高齢者比率は、内閣府によると2012年には24.1%。2030年の中国の予測値23.8%とほぼ同じであり、日本は18年ほど中国よりも先を走っていることになる。  | 2005年 | 2010年 | 2015年 | 2020年 | 2030年 | 2050年 | 2075年 |
全人口 | 13億1817万人 | 13億5982万人 | 14億158万人 | 14億3286万人 | 14億5329万人 | 13億8497万人 | 12億581万人 |
高齢者人口 | 1億4100万人 | 1億5500万人 | 1億8360万人 | 2億3928万人 | 3億4588万人 | 5億4014万人 | 5億5708万人 |
比率 | 10.70% | 11.40% | 13.10% | 16.70% | 23.80% | 39.00% | 46.20% |
中国は高齢者の増加を大きな課題として捉え、2006年12月12日には国務院報道弁公室が白書「中国高齢者事業の発展」を発表。また、同年は「中華人民共和国高齢者権益保障法」が施行されて10周年に当たり、「中国高齢者事業発展『第11次五カ年計画(2006~10年)』」がスタートする年にもなった。
また、2011年からは、第12次五カ年計画(2011~15年)がスターとし、この期間内に最初の高齢者人口の増加のピークを迎えると予測されている。第12次五カ年計画では、以下の7つのポイントが挙げられている。
- (1)高齢者社会保障制度の改善、新しい農村社会養老保険制度都市住民社会養老保険制度を全国へ普及
- (2)高齢者医療・衛生・保健事業の強化、定期健康診断を実施
- (3)家庭養老支援策の整備
- (4)高齢者サービス事業の発展。在宅養老サービス事業を80%以上の郷鎮*、50%以上の農村に実施
- (5)高齢者の活動の場やバリアフリー施設の建設を加速させ、文化・教育・スポーツ・フィットネス施設の増加、高齢者の精神・文化生活を豊かにする
- (6)高齢者向け産業の誘導・支援策の整備、高齢者用品・用具・サービス製品の開発を促進
- (7)高齢者関連法の整備と法的サービスの強化、介護サービス業界への監督を強化および高齢者の合法的権益の保護