現地企業も虎視眈々と準備

 もちろん、中国企業も高齢者向け事業を虎視眈々と準備している。既に大学系企業、不動産開発業者らが参入しているが、そこに中国大手保険会社などの参入が待ち構えている。中国企業は日本の介護サービス企業の協力を得て運営をしていることが多いが、未だに中国に合ったサービスが提供できていないようだ。

 今後解決すべき課題は、運営ノウハウ、介護人材の育成など多岐にわたる。日本のノウハウを持ち込もうにも、やはり文化の壁は大きいようだ。中国文化に合った介護サービスを構築していくことが、最大の難関となるだろう。

 そして今回、筆者が訪問したのが、上海復旦復華商業資産投資有限公司(中国表記:上海复旦复华商業資産投資有限公司)だ。中国でも有数の名門校である復旦大学(中国表記:复旦大学)が出資する企業の一つである。同社のメインビジネスは不動産であり、その不動産ノウハウと日本の高齢者介護のノウハウを一つにした事業を進める。時魚を進めるために現在は、上海復華養老服務有限公司に登記を進めている。高齢介護施設の登記には、日本の厚生労働省にあたる民政部と上海衛生局に申請する必要があり、時間を要しているようだ。

*中国では大学が自ら企業を設立することが多い。これは中国特有の構造で、大学が保有する技術で市場に参入する形だ。大学企業は高弁企業といって、高校企業の上場市場もある。
昌楽寿陽山養老産業功能区の建設中の施設について説明する董事長の楊暁軍(Yang XiaoJun)氏
昌楽寿陽山養老産業功能区の建設中の施設について説明する董事長の楊暁軍(Yang XiaoJun)氏

 彼らが老人ホーム運営を開始するきっかけは4年前に遡る。董事長の楊暁軍(Yang XiaoJun)氏は「中国政府が高齢者問題を重要視しており、続々と行政条例を発行しているので、この事業は必ず発展し、将来性があると認識した」と語った。彼らはこれまでの事例を基に、中国企業だけでは高齢者介護を円滑に運営できないと考えており、既に大阪にある医療法人弘善会グループと契約を交わし、ノウハウの提供や育成サポートを受けている。