上海では知識層向けのデイケアサービス施設を建設

 上海復旦復華商業資産投資有限公司のもう一つのプロジェクトは、上述の不動産開発よりも前にスタートする。上海でのデイケアサービスである。同社が持つビルの中に施設を設置し、3年後には同様の施設を5つまで増やす。2015年には開業をしたいとする。

 高齢者向けビジネスは、在宅ケア、老人ホーム、デイサービス、短期入居サービスなどがある。サービスを希望する高齢者層も、大学教授などの知識層から、子供のいない層なまで様々である。この施設では、まず近隣の高齢者に向けてデイケアサービスを提供する。中国でも一流と言われる復旦大学と同済大学のちょうど中間に位置し、周辺には大学を退官した教授などの住まいが多いという。こうした知識層に向けたデイケアサービスのモデルケースを作っていく。

 ただ、2000m2という広さに新設されるデイケアサービス施設の工事は、まだ進んでいなかった。この施設を運営する上海復華養老服務有限公司の総経理 華原誉氏によれば、「当初、施設のデザインを中国の建築デザイナーに任せたが、高齢者介護に必要となる施設を理解しておらず、介護には全く適さないデザインが上がってきたため、工事を中断した。現在、改めて日本の建築デザイナーが設計図を作り直しており、それに沿った工事を進める」という。

 このように、施設設計ひとつをとっても中国にはまだ経験が足りていないと感じた。

デイケアサービスを提供する予定の上海の自社ビル
デイケアサービスを提供する予定の上海の自社ビル
現在工事をストップさせ、日本の建築デザイナーらが新たな設計図を作成中だ。