本コラム第3回の「焼きギョーザの新規性と進歩性」では、日本の焼き餃子は中国発祥の水餃子のイノベーションにより生まれた新しいタイプの餃子であると書いた。その焼き餃子は現在、世界中に広まる日本食ブームによって、海外でも急速に知名度を高めてきている。今回は、焼き餃子の世界展開を支える餃子の製造機器と、それに伴って生み出されてきた新たな創造について考察してみたい。

世界に広がる焼き餃子

 本コラムの第3回目の記事が掲載された後、ちょっと驚かされたことがあった。焼き餃子が海外でも人気が出てきていることは認識していたが、それはあくまでも日本から進出した料理店で売っている焼き餃子や、スーパーマーケットなどで売っている日本メーカーの冷凍餃子ぐらいだろうと筆者は考えていた。しかし、パリではなんと「GYOZA BAR」(餃子バー)という新しいタイプの店が登場してきており人気を呼んでいる。焼き餃子は、海外でさらなる進化を遂げていたのだ。

 その店に筆者は実際に行ったことはないが、その映像によれば、GYOZA BARは高級感のある西洋スタイルのバーだ。そうした店で、庶民的な中華料理の代表作である焼き餃子を扱うというのは、東洋と西洋の食文化の融合であり、そこに新しさ(創造)がある。餃子をビールなど酒の肴に歓談を楽しむというスタイルは、日本の餃子専門店でも見られるが、ワインに合う焼き餃子など餃子の具の“現地化”も期待でき、餃子のさらなる進化の可能性を感じさせる。

 こうした焼き餃子専門店を海外で成立させるには、
1.餃子作りのスピードと量を確保する
2.餃子職人に劣らない餃子の品質を実現する
といったことが不可欠だ。ただ、焼き餃子に馴染みの少ない海外の業者にとって、餃子を手作りすることは難しいだろう。ならば、どうすればこれらの条件をクリアできるのか。そこで、登場してくるのが、日本のある機器メーカーの小型餃子製造機である。