個別製品の特長を強調しながら、全体的に最少の部品を設計する「モジュラーデザイン」の第一人者、日野三十四氏(モノづくり経営研究所イマジン所長)の半生を振り返る連載「一人の技術者がモジュラーデザインを確立した軌跡」が大変多く読まれています。日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「設計・生産」のアクセス数ランキング(2014年7月8日~7月27日)では、この連載が第1、4、6位に入りました。
特に第1位になった「ロータリーエンジンの排ガス対策に苦闘、車内随一の専門家に」は、ロータリーエンジン(RE)の復活を期待するファンに読まれたようでした。記事の中身は、REの事実を技術面から冷徹に見据えるものでしたが、読者のコメントを見ると事実は事実として認めつつも、今なおREに郷愁のようなものを感じる方が多いことも分かります。
連載記事では、「R&Dマネジメント 成功事例と失敗事例」が引き続き多くの読者を集めました。以前掲載した回も含めて、第2、7、8、12、15位と読まれています。新しい連載では、やはり失敗事例から第1回を始めた「イノベーション5つの壁」(第5位)の今後が期待できます。
その中で第3位に入ったのが、日経ものづくり誌の高田副編集長によるEditor's Note「ダイハツのオープンカー「コペン」は、なぜテレビCMを流さないのか?」でした。コペンは、服を着替えるように樹脂製の外板を“着せ替えて”クルマのデザインを変えられることを最大の特徴とするクルマで、発売後1カ月で目標販売台数の約6倍に当たる4000台を受注しました。この好調さを支えるのが、テレビCMに頼らないマーケティング活動です。
実は「設計・生産」のサイトマスター(木崎)は、この記事が出た7月25日の前日に査読を担当しました。コペンにはテレビCMがないことを恥ずかしながら初めて知ったのですが、その翌日、まさにコペンのマーケティング活動を目撃することになりました。東京・池袋の東武百貨店で開催されたイベントで、コペンが展示されていたのです。
単に、実車「コペンローブ」が展示されていただけではありません。コペンの模型が一緒に並べられていました(図)。模型好きの人々がコペンも好きになるかどうかよく分かりませんが、何となく共通する要素はあるようにも思います。あるいは、模型を目当てに来場した親子連れの親の方にアピールする狙いでしょうか。
このイベントは、プラモデルメーカーのタミヤ(本社静岡市)が主催する「タミヤモデラーズギャラリー」。毎年7月下旬に東武百貨店の催事場で開かれています(2014年は7月24~29日の開催でした)。ダイハツ工業は単にイベントに参加するだけではなくて、「ミニ四駆」としてタミヤ模型が製品化するのに協力までしているわけですから*、相当気合を入れていることが分かります。