やはりiPhoneは別格なのか――。そんなことを思わせる情報が、台湾市場から飛び込んできた。

 伝えているのは台湾紙『経済日報』で、2014年7月24日付に掲載した「スマートフォンの受託生産業者、受注激増で加工賃値上げ」という見出しの記事。これだけを見ても具体的なことは分からないが、記事を読み進めていくと、米Apple社の次世代スマートフォン(スマホ)「iPhone 6」の生産を受注したEMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手の台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕と台湾Pegatron社(和碩)が、Apple社以外のメーカーに対し、スマホ組み立ての加工賃の5~10%値上げを通告する準備を進めているという話が、台湾市場に流れているという内容だ。さらに、2014年からiPhoneシリーズの組立業者に加わった台湾Wistron社(緯創)も、先の2社同様、値上げを計画しているというものである。

 台湾のエレクトロニクス業界筋は、「EMSは利益率の低い産業。だから加工賃の値上げはどこでももちろんしたい。ただ、値上げをして顧客に逃げられてしまうことを恐れて、実現に移す勇気のあるところなどこれまではなかった。それどころか、受注を継続するため、自発的に値下げに動いた企業すらある」と話す。

 台湾系のEMS/ODM(Original design manufacturer)が主力としてきたノートPCの利益率の低さを伝える台湾系メディアの記事を読むと、2008年ごろまでは「保5」「保6」、すなわち「売上総利益率5~6%台を確保する」という意味の言葉がよく見られた。それが2010年になると「保4的攻防戦」、つまり「4%台を死守せよ」という悲壮感漂う表現が目立ち始めるようになる。さらに2011年になると、経営の思わしくないEMSでは1.5%にまで下がってしまい、ノートPC受託生産から撤退を余儀なくされるというケースも出た。こうした状況は、2014年の現在に至るまで大きな改善は見せていない。

 一方で、Apple社についても、「フォックスコンがApple社の仕事をして得られる利益率は2%程度に過ぎない」(EMS業界筋)と指摘する向きが多い。Apple社に納める部品を製造する際には、通常よりも点ける電灯の数を減らして電気代を浮かせないと利益が出ない業者がいるというようなうわさもあるほどだ。