鉄道マニアの方のために列車の写真を添付しました
記事の最後には動画もあります。
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 私が住んでいるHaverhillという町は、マサチューセッツ州の北東部にあり、州都であるボストンまで約50kmの典型的なベッドタウンです。高速道路を使えば、ボストンまで1時間足らずなのですが、交通渋滞がひどく、朝晩のラッシュ時間帯にはどれくらいかかるのか読めません。このため、最近は公共交通機関を使う通勤・通学者が増えているそうです。元々、私は車の運転が好きな方ではないので、何年かぶりで列車で出かけることにしました。

 Haverhill Lineは、ボストンから郊外へ放射状に広がる10本ほどのコミュータレールのひとつで、Haverhillは終着駅になります。ボストンノースステーションとの間に12の駅がありますから、平均駅間距離は4k~5kmということになります。ほとんどが無人駅です。平日は1日に13便の運行ですが、朝晩のラッシュ時に集中しているので、昼間は3時間近く間が空いています。週末の運行はさらに少なく、1日6本だけです。

 最近の出来事としては、駅の側に新たに立体駐車場が出来たことです。といっても、新しいビルではなく、20世紀初頭に製靴工場として作られた建物(廃屋となっていた)を、改装したビルです。駅に隣接しているので、プラットホームに直接入れるブリッジがかかっています。駐車料金は18時間で4ドルです。

 列車はおおよそスマートといえるものではありませんが、なかなかノスタルジアを感じさせてくれます。これらの路線は電化されていませんので、大型で無骨な感じのディーゼル機関車が、5~6両の客車を牽引します。機関車が付いているのは片側だけなので、逆方向に進行する時は機関車が客車を押すことになります。この場合、運転手は客車の最後尾に付いている小さな運転席に座って操縦します。駅には駅員がいませんので、列車が近づくと警報が発せられ、ほどなくプラットホームにカーンカーンと鐘を鳴らしながら、列車が入ってきます。客車のドアは自動ではなく、基本的に車掌さん(つい「さん」付けで呼びたくなるような愛すべき存在です)が、手動で開閉します。

 車内の座席構成は、日本の新幹線に似ていて、1列5人掛けで、20列ほどありますから、客車1両あたりの座席数は約100ということになります。この他にオープンスペースがあり、ベビーカーや自転車を持ち込む客の便宜を図っています。

 面白いのは、始発駅での上り列車は、最後尾の客車しかドアが開かず、乗客はその車両にしか乗れないことです。列車が進み、乗客が増えてくると順次前の車両も開かれていきます。ボストンに着くまでには、全ての客車が利用可能になります。私が乗ったのは一番空いている昼過ぎの便でしたが、ボストンに着くころには、7~8割の乗車率になっていました。