ある特許をめぐって、太陽電池業界が大きく揺れている。京セラが太陽電池モジュール関連で2012年3月に取得した、通称「3本バスバー特許」(第4953562号)と呼ばれる特許だ(関連リリース1関連記事1)。

3本バスバー電極構造(京セラの資料)
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 「3本バスバー」とは、京セラによれば、結晶Si型太陽電池セルの表面にある太い電極(バスバー電極)を、従来の2本から3本に増やすとともに、バスバー電極と細い電極(フィンガー電極)の幅と配置を最適化する技術を指す。太陽電池セルの受光面積を増やすとともに、電気抵抗を低減でき、太陽電池モジュールの効率向上につながるという。

 3本バスバーは太陽電池モジュールの中核技術の一つとして、以前から京セラ以外にも多くの太陽電池メーカーが採用してきた(関連記事2)。この3本バスバーに関する特許をめぐり、京セラがここにきて競合他社の提訴に踏み切ったのだ。

 2014年7月10日、京セラはハンファQセルズジャパンに対して、3本バスバー特許を侵害したとして、東京地方裁判所に特許侵害訴訟を提起した(関連リリース2関連記事3)。ハンファQセルズジャパンは、2012年に経営破たんしたドイツの大手太陽電池メーカー旧Q-Cells社を韓国Hanwhaグループが買収して誕生したHanwha Q CELLS社の日本法人である(関連記事4)。京セラはハンファQセルズジャパンと特許侵害に関する交渉を以前から続けてきたが、進展がみられなかったことから、訴訟提起に踏み切ったという。