2014年4月の省エネ法改正によって、国内電力大手10社が「スマートメーター」の導入を決定。各社が管轄内における全顧客の電力計を、スマートメーターに置き換えることになった。

表 国内の電力大手10社によるスマートメーター導入の予定

 最も早い東京電力では、2020年までにすべての顧客先で双方向通信機能を持つスマートメーターの設置が完了する見込みである(表)。

 沖縄電力がスマートメーター化を完了する2025年には、日本の電力計はすべてスマートメーターとなる。2014年5月11日に成立した改正電気事業法による電力自由化と合わせ、日本におけるスマートグリッドの取り組みが本格化する。

 一方、欧米主要国では既に多くの都市や地域でスマートメーターの導入が進んでいる。「エネルギー・インターネット」とも呼ばれるスマートグリッド分野で、日本が巻き返し、存在感を発揮することはできるのだろうか。

実証から実運用段階に入った欧米

 スマートメーターは欧米のみならず、中国でも政府主導で導入が進められている。すでに、全世帯へのスマートメーター設置が完了した国もある。

 例えば米国では、「グリーンニューディール政策」を訴えて当選したオバマ大統領が2009年以降にスマートグリッド化を推進、1億を超える全世帯への導入を目指している。

 米国研究機関のThe Edison Foundation Institute for Electric Innovationが2013年7月に発表した報告書によると、その時点で約4600万台(米国世帯数の約40%)に上るスマートメーターの設置が完了している。そのペースを考慮すると、現在では5000万台を超えている(同約50%前後)と推測できる。

 さらに同報告書では、2015年時点で東西両海岸地域やテキサスなど大都市圏のある州の多くで、スマートメーターが過半数の世帯に普及していると予測する。これらの状況を受け、「実証の時代は遠い過去の記憶だ。現在の焦点は、スマートメーターが収集した情報の統合や最適化であり、デジタル化された電力網が顧客に最大限の恩恵を与えるようにすることだ」と同報告書は指摘している。

 ここでいう「恩恵」とは、電力網の信頼性が向上した結果として災害後の復旧時間が短縮されたこと、デマンドレスポンス・プログラムの創設により顧客がピーク時の節電に協力することで電気代の割引を受けられるようになったこと、などを指す。