対日関係では近年、歩調を揃えることの目立つ中国と韓国。その中韓がスマートフォン(スマホ)を巡っては中国市場を舞台に激しくシェアを争っている。最近になって「韓国Samsung Electronics社が中国の消費者をバカにしている」という論調まで飛び出した。

 きっかけになったのは、Samsung Electronics社が2014年7月8日に発表した同年4~6月期の業績見通し。本業のもうけを示す連結営業利益が7兆2000億ウォン(1ウォン=約0.1円)と前年同期比24.5%減少する他、売上高も9.5%減の52兆ウォンを見込んだ。Samsung Electronics社の減収減益は2005年第4~6月期以来9年ぶりのこと。業績の後退が鮮明になりはじめたことに、市場には大きな衝撃が広がった。

 Samsung Electronics社が減速の2大要素として挙げたのは、ウォン高と、スマホ市場における中国勢の台頭による競争の激化だ。その中国では、Samsung Electronics社が業績見通しを出した2日後の7月10日、経済紙『21世紀経済報道』が、「中国系ブランドの製品とほぼ同じスペックでありながら2~3倍も値段が高いSamsung Electronics社の携帯電話を中国の消費者が買うわけがない。バカではないのだから」と、いささか激しい表現で、中国市場におけるSamsung Electronics社の戦略を批判する記事を掲載した。

 21世紀経済報道の取材に応じた中国のある携帯電話小売り業者は、Samsung Electronics社の今年の旗艦モデル「Galaxy S5」と同等のスペックを持つ中国系ブランドのスマホには、Huawei社(華為)の「Ascend P7」やCoolPad社(酷派)の「大観」などがあると紹介。その上で、米Apple社の「iPhone」であれば、まだOSが違うなど異なる点があるから理解できるが、同じAndroid OSを積み、操作感も大差ないGalaxy S5にSamsung Electronics社が5000元(1元=約16.5円)以上と、中国ブランドの倍以上の値段を付けて中国で売れると思う方が思い上がっているとの考えを示した。

 名前の挙がったスマホの価格を、4G LTE対応版で調べてみると、Huawei社のP7は2900元あまり、CoolPad社の大観は3900元あまりと、半額までとはいかないものの1000~2000元の価格差があることが分かった。