今週、ある医師とお会いしました。

 つい先日まで米国に留学していたとのことで、現地でのベンチャー企業による医療IT分野の活発な開発競争を目の当たりにしたそうです。

 その様子に刺激を受け、自ら国内でベンチャー企業を設立し、新たな医療ソフトウエア・アプリケーションの実用化を目指すとのこと。しかも、治療につながるソフトウエアを開発したいといいます。「医療現場での治療手段は現在は『薬』か『医療機器』。そこに『ソフトウエア』という選択肢を加え、その分野を確立していきたい」と、医師は意気込みを語りました。

 2014年11月に施行される改正薬事法、すなわち「医薬品・医療機器等法」では、単体のソフトウエアを医療機器の範囲に加えることが規定されています(関連記事:ソフトウエアの医療機器化)。すべての単体ソフトウエアが規制対象になるわけではありませんが、医師が目指すのは規制対象になるソフトウエアの開発だと言い切ります。すなわち、効能効果をはっきりうたえるソフトウエアというわけです。

 もちろん、そのためには治験など医療機関・医療従事者の協力も必要になります。「こうした協力が得られるかどうかが今後の課題だ」と医師は語ります。今回の改正薬事法の狙いの一つは、単なる規制強化ではなく、白黒をはっきりさせることでこうした市場を活性化させることにあります。そして、“これまでの医療業界”に風穴を開ける意味でも、ぜひ、医師の取り組みがうまく進んでほしいと願うばかりです。

 なお、同医師には日経デジタルヘルスで近々にスタートするコラムを執筆していただく予定です。ご期待ください。

 また、単体ソフトウエアの医療機器化も含め、「薬事法」の勘所を実践的に学ぶためのデジタルヘルスAcademy「『薬事法』の勘所を実践的に学ぶ」を2014年9月に4週連続で開催します。こちらもぜひご活用ください。