台湾に比べて、中国では携帯電話機/スマートフォンの産業チェーンの形成が比較的遅かった。しかし、今では川上・川中・川下分野まで一貫した生産体系が作り上げられるまでに発展した。川上のチップや周辺部品から、川下の設計、製造、ブランドに至るまで、産業チェーンの各セグメントに多くのメーカーが参入し、しのぎを削っている(図1)。

図1 中国の携帯電話機/スマートフォンの産業チェーン
出典:工研院IEKがまとめた(2014年6月)
[画像のクリックで拡大表示]

1. 厚み増す、中国スマホ業界

 中でもチップでは、ベースバンドチップとアプリケーションプロセッサーの発展が著しい。その代表的なメーカーは、前者がSpreadtrum Communications社(展訊通信)やLeadcore Technology社(聯芯科技)など、後者がSpreadtrum Communications社やHisilicon社(海思)などである。

 特にSpreadtrum Communications社は、2013年に中国のTD-SCDMA方式の携帯電話機/スマートフォン市場でシェア70%を獲得する快挙を達成した。さらにWCDMA方式を採用した製品の開発にも力を入れ始めており、ベースバンドチップでも着実に実力を付けてきている。韓国Samsung Electronics社の中国法人である中国三星電子(Samsung China)がChina Mobile社(中国移動)と連携して中国で販売している製品には、Spreadtrum Communications社のチップが標準品として搭載されている。

 Datang Telecom Technology & Industry Group社(大唐電信科技産業集団)の子会社であるLeadcore Technology社は現在、NFC対応で3G機能も搭載したタブレット端末の開発に注力することで競合他社と差異化を図っている。中国で現在主流の携帯電話機/スマートフォンのほとんどにターンキーソリューションが採用されており、その多くにベースバンドチップとアプリケーションプロセッサーの組み合わせが提供されている。