顧客ニーズの多様化が進み、それを満足させるために製品のバラエティーを増加させた結果、「管理しなければならない部品点数や種類が増えた」という企業が数多く存在しています。

 部品点数や種類が増加するほど、開発側の管理コストだけでなく、それらを製造するための機械設備や金型、治工具、材料なども多くの種類が必要となり、製造コストの上昇にもつながります。さらに受注の都度、仕様や機能を検討している企業の場合、自社製品の標準モデルが構築されていないケースも少なくありません。このような状態だと、どうしても顧客の「御用聞き営業」になりがちで、提案型の営業が難しくなるといった問題も発生します。

 R&D部門には、顧客ニーズを満足させるための製品の多様化と部品の少数化という、相反する課題の解決が求められており、それへ向けた製品の標準化活動に取り組んでいる企業も多数存在しています。しかし、その取り組みは必ずしも成功しているとばかりは言えません。今回は、この製品標準化に関する成功事例と失敗事例から、標準化を進めるポイントを見いだしていきたいと思います*。

 まずは、失敗事例から紹介します。

* 本記事ではユニットや部品構成といった製品の標準化を主題としており、技術や業務推進の標準化については述べていません。