サーバー機からパソコンまで、幅広い用途でHDDを置き換え始めたSSD(solid state drive)。NANDフラッシュメモリーを記憶媒体とするこのストレージデバイスでは従来、主にHDD互換のインターフェースであるSATA(Serial ATA)が採用されてきた。これに対し、SATAよりも広帯域でしかも低レイテンシのインターフェースとして、SATAコントローラーを介さずプロセッサーと直接接続できるPCI Express(PCIe)を採用する動きが活発になっている。SATAではNANDフラッシュメモリーの高速性を生かせない利用場面が増えてきたからだ。

 SSDのインターフェースに、SATAに代えてPCIeを採用するメリットは大きく二つある。第1に、データ伝送帯域を広げられる。SSDの現行の標準インターフェースであるSATA 3.0のデータ伝送速度は最大6Gビット/秒。これに対し、PCIeの最新版であるPCIe 3.0のデータ伝送速度は最大8Gビット/秒(片方向)で、レーン数を増やせば帯域はさらに拡張できる。第2に、プロセッサーと直接接続できることから、レイテンシを低減できる。これらのメリットからPCIeは今後、SSDの主流のインターフェースになると見込まれている。

 PCIeインターフェースのSSD(以下、PCIe SSD)は、2011年ごろからデータセンターのサーバー機向けなどで採用が進み始めた。この動きを先導したPCIe SSDベンダーが、米Fusion-io社である。同社は2011年以降に売り上げを急拡大させ、米EMC社や米Intel社、米SanDisk社、韓国Samsung Electronics社など、多くの企業がPCIe SSD市場に参入するきっかけを作った。そして2014年6月には、SanDisk社がFusion-io社を11億米ドルで買収することを発表した(関連記事)。

Samsung社が2014年7月1~2日に開催したイベント「2014 Samsung SSD Global Summit」(韓国ソウル市)で展示した、PCIe SSD製品群
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