日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「エネルギー」において、2014年6月2日~7月2日のアクセスランキングで最も読まれたのは、「『温度差なしの摂氏100度以下で発電可能』、信州大学とエヌ・ティー・エスが発表、原理究明はこれから」というニュース記事だった。ニュース記事が、コラムや特集・解説といった記事を押さえて1位になることは珍しく、新型の発電素子への読者の関心の高さをうかがわせた。エネルギーの多様化や携帯機器の利便性アップなど、新型の電池や発電素子は技術者にとって大きな関心事なのだろう。
ドライヤーで加熱すると発電
同記事では、新型発電素子のデモの様子を伝えている。それによれば、試作した素子(セル)にドライヤーの熱風を当てると、間もなく同セルに接続した3個の赤色LEDが点灯するという。出力は、セルの温度が摂氏100度ぐらいのときで約0.88mW。そのときの電圧は約1.56V、電流は約0.57mAという。
同記事によれば、発電原理はまだ分かっていない。素子の表裏に温度差を付けることで発電するゼーベック効果を用いた熱電変換素子があるが、素子の表裏にほとんど温度差を付けなくても発電するのでそれとも違うという。
同素子を開発したのは、信州大学繊維学部教授の村上泰氏とエヌ・ティー・エス。同記事によれば、開発のきっかけは、3年半前にエヌ・ティー・エスがたまたま手掛けていた材料で電圧と微弱な電流値を観測したことだという。この新型素子にご興味のある方は、是非、同記事をお読みください。