次の事業のヒントが山盛り

 こうして見ると、有機エレクトロニクスは次の事業を創る要素技術の宝庫であることがあらためてわかります。一部の暗い話で、技術全体を判断してしまうと、せっかくのビジネスチャンスに乗り遅れることになりかねません。

 こうした状況の中、日経エレクトロニクスは、有機エレクトロニクス材料研究会(JOEM)と協力し、「有機エレクトロニクスの次の方向性を考える」をテーマとするシンポジウムを2014年7月10~11日に開催します。

 講演者の顔ぶれは日本の有機エレクトロニクスの研究開発を代表する人たちばかりです。シンポジウムは2日間にわたりますが、初日は、有機エレクトロニクスを利用した新産業創生の可能性が主なテーマ。大日本印刷、三菱化学の研究開発トップ級の方が登壇します。そして、有機トランジスタを医療やヘルスケアなどに応用する研究開発を進める東京大学、ユニークな形状の太陽電池を開発する九州工業大学、太陽電池を塗って作る開発を進める理化学研究所の方などが講演されます。

 2日めは、研究開発の最前線となる技術や成果が相次いで紹介されます。まずは、九州大学 教授で熱活性化遅延蛍光(TADF)技術の研究を主導する安達千波矢氏の研究グループが登場します。世界が注目する安達氏の講演はもちろんですが、同大学 助教で有機半導体材料を用いて新しい磁性体を開発している合志憲一氏の「有機ELデバイス物性の最先端」というタイトルの講演も非常に興味深いです。

 次に登壇するグループは、白色有機EL素子を世界で初めて開発した山形大学 教授の城戸淳二氏の研究グループと、やはり同大学 教授でフレキシブルな有機トランジスタ回路や有機ELディスプレーなどの開発を進める時任静士氏です。最新の開発成果を紹介していただけます。

 シンポジウムの最後には、有機エレクトロニクスの今後の展開についてのパネルディスカッションを開催します。議題は「日本の有機エレクトロニクス産業飛躍のための戦略を考える」。ここでのディスカッションが、有機エレクトロニクスによる日本メーカー再興の一助となれば幸いです。