最近のロボットは、高度なセンサを多数搭載し、人工知能などの高度なアルゴリズムを実装して高機能化してきました。それでもまだロボットができる作業は限られており、例えば介護施設や建築現場で即戦力として人を代替することは難しいでしょう。

 掃除用ロボットの市場では、日本メーカーは技術がありながら実用化ではルンバを販売するiRobotに後れを取りました。ロボット単体だけでもビジネスする領域は無いことはないでしょうが、大きな市場がすぐに開けるわけではないでしょう。

 一見、日本メーカーの判断が合理的に見えます。ではなぜGoogleはロボット開発に大きな投資を行っているのでしょうか。Googleがロボットを開発する理由は明らかにされていませんが、おそらく、Googleのサービスがネットにとどまらず実世界に入り込んで来た時に、人間とのインタフェースの手段の1つとしてロボットを考えているのではないでしょうか。

 Googleは自働運転車の開発も積極的に行っています。Googleも現在のインターネット上の広告収入のビジネスモデルだけでは成長を続けられるとは考えていないのでしょう。Googleにとってサービスを強化するためのロボット(や自働運転車)であって、ロボットというハードを販売するビジネスだけで収益を考えていないと推察されます。

 Googleが無人飛行機ドローンを手掛けるTitan Aerospacを買収した理由も同様でしょう。将来ロボットやドローンを事業化する時も、ロボットや無人飛行機の事業は赤字でも、他のサービスに活かし、サービスで利益を得られれば良いとGoogleは考えているのではないでしょうか。つまり、メーカーがロボットというハードだけで事業を考えているとしたら、そもそもGoogleとは投資を考える事業の土俵が違うのです。

 Kindleを安価で販売するAmazon.comやAndroidを無料で提供するGoogleのケースも、サービスで儲ける手段として、ハードやソフトを手掛けているのではないでしょうか。これでは、携帯電話のハードやOSというソフトだけで収益を上げようとする企業はたまったものではありません。「ルール違反だろう」と言っても仕方ありません。