真夏日が続出するなど、5月としては5年に1度の暑さとなりました。早くも夏が到来したような雰囲気ですが、製造業でも熱気にあふれている分野はいくつもあります。その1つが3Dプリンターと言えるでしょう。テレビや雑誌などのメディアでは連日のように取り上げられるとともに、3Dプリンター関連のニュースを目にしない日はないぐらいです。ただし、昨今の報道を見る限り、一般消費者向けの視点が多く、その一方で、製造業向けの視点は相対的に手薄だった印象があります。

 そこで、日経ものづくりでは、これから、製造業向けの視点を強めます。そして、製造業で働く技術者が必要とする情報を提供していく方針です。その第1弾として今回紹介したいのが、2014年6月号の特集1「製造装置 3Dプリンターの実力」です。製造業にとって、3Dプリンターを最終的な製品や部品の製造装置として使えるか否かは大きな意味を持ちます。現状では、試作品を素早く、安価に手に入れるために使われることが多い状況です。もちろん、その効果は小さくはありませんが、最終的な製品や部品を造れるとなれば、設計の段階から最適化することなどで、より高い付加価値を得られる可能性が出てきます。今回の特集1では、最終製品/部品の製造手段としての3Dプリンターの実力と活用の実態を探ります。製造業の活用事例として、パナソニックによる3Dプリンター活用への取り組み(6ページ)を含む全24ページの特集を中山記者がまとめました。

 続いて2014年6月号でお届けするのが、特集2「幅広い車種に対応するデンソーのカーエアコン」です。トヨタ自動車とデンソーが新たに開発したカーエアコンは、2013年12月発売の新型「ハリアー」(大型SUV)、2014年1月発売の互いに兄弟車(ミニバン)である新型「ノア」と新型「ヴォクシー」に搭載されています。特筆できるのは、これら3車で同一のカーエアコンの中核ユニットHVAC(冷暖房空調装置)を使っている点です。大型SUVとミニバンではデザインはもちろん、車体構造も大きく異なります。こうした場合、HVACは車体構造に合わせて設計し、形や大きさが異なるのがこれまでの常識でした。ところが今回のHVACは、1種類で大型SUVやミニバン、そしてコンパクトカーにも使えます。いかにして従来の常識を覆すHVACが可能になったのか、デンソーの開発者に寄稿していただきました。

 2014年6月号で最後に紹介したいのが特集3「中国のApple『小米科技』はアジアのものづくりを変えるか」です。2010年に創業した中国のスマートフォン・メーカー「小米科技」が、驚異的な躍進を遂げています。2013年の売り上げは日本円で5000億円を突破し、2014年は1兆円を超えると予想されています。小米科技は中国のAppleと評されることの多い小米科技ですが、同社のビジネスモデルを詳細に見ると、米Apple社とは明らかに異なる点があり、それが小米科技の急成長の源泉となっているようです。この特集3では、日本経済新聞社で北京駐在やアジア部長などを歴任した後藤康浩氏が、アジア全域のものづくりにとって重要な意味を持つ小米科技のビジネスモデルに鋭く切り込みます。 盛り沢山の内容となっている日経ものづくりの2014年6月号にどうぞご期待ください。