燃料電池の出力調整で需給安定に貢献

 このほか北九州プロジェクトでは、いのちのたび博物館に設置されている100kWのリン酸型燃料電池を使った実証実験を2013年度にスタートさせている(図4)。具体的には、CEMSおよびBEMS(ビルエネルギー管理システム)と連携し、地域内の電力需要が大きい時には通常時の出力から負荷を上げて運転して地域の需給安定に貢献する。

図4 いのちのたび博物館に設置されている100kWのリン酸型燃料電池
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 同燃料電池の定格出力は105kWだが、通常時の運転出力は35%と低く運転し、電力需要がひっ迫する際はCEMSから発動される信号に応じて、負荷を最大100%にまで高める運転パターンを実証した。

 こうした実証プロジェクトを通じて、燃料電池や水素インフラが地域の需給安定や二酸化炭素の削減に貢献できるポテンシャルを持っていることが確認されつつある。

この記事は日本経済新聞電子版のエネルギー分野のコラム「エネルギー新世紀」から転載したものです。