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Liイオン電池材料編●中国新興材料メーカーの台頭で、消耗戦に突入

Liイオン電池材料編●中国新興材料メーカーの台頭で、消耗戦に突入

2014/05/30 00:00
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 調査会社テクノ・システム・リサーチ(TSR)の複数のアナリストに、スマートフォンやセンサ、カメラなどの技術/市場動向を寄稿してもらう連載。今回は、Liイオン電池の材料市場について、同社 マーケティング・アナリストの山本連三氏が分析する。(日経BP半導体リサーチ)

 Liイオン電池業界を取り巻く雰囲気は、この1年でずいぶんと変わった。リーマンショック以前より2012年まで、小型Liイオン電池市場は韓国のSamsung SDI社とLG Chem社がシェアを一気に拡大させた。その勢いには目を見張るものがあったが、2013年に入るとブレーキがかかってきている(図1)。

図1●小型Liイオン電池市場の四半期別出荷推移
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Liイオン電池市場の変化

 これは、パナソニックが電池を納入する米Tesla社のヒットなど、各電池メーカーの抱える顧客のパワーバランスの変化も大きな要因である。さらに、米Apple社に代表される大型顧客争奪の成否など、さまざまな要因があっての結果でもある。その理由として、為替是正のタイミングと一致していることも偶然ではないだろう。

 直近で小型Liイオン電池市場成長をけん引しているのは、円筒型セルである。円筒型セルの最も大きなアプリケーションであるノートPC市場向けでは、需要は縮小基調にある。これは(1)電動工具や園芸工具市場などパワー系アプリケーションでのLiイオン電池採用の拡大、(3)Tesla社のヒット、(3)携帯型バッテリー市場の拡大、という三つのインパクトによるものである。小型Liイオン電池全体では2014年1~3月期では対前期比10%マイナスであったにもかかわらず、円筒型電池だけみるとわずかながらプラス成長となり、一部メーカーでは供給不足も起きた。

 自動車用のLiイオン電池については、2012年までEV/PHV市場は各社の強気な計画値に反して不振を極めた。ハイブリッド車については、トヨタ自動車は好調だったたものの、その大半をNi水素搭載のモデルが占めており、Liイオン電池業界への貢献は限定的だった。しかし2013年に入ると、Tesla社の「Model S」の販売が伸び、アウトランダーPHVなどのヒットモデルが生まれ始めた。またハイブリッド車でも、ホンダがハイブリッド車でLiイオン電池を本格採用し、ハイブリッド車向けの需要も大きく拡大してきた。

 こうした着実な実績が生まれていることに加え、Tesla社のGigafactory構想をはじめとする自動車メーカー各社のアグレッシブな戦略や、各国の施策も後押しし、市場への期待感は再び高まっている。

 また、中国Tier-2市場については、角型需要が低迷し、資金繰りが悪化するメーカーが続出している。ピークで700~800社ほど存在したメーカー数は500社弱にまで減少しているものとみられる。しかし、携帯型バッテリーが中国を中心にヒット。これによって円筒需要が中国のTier-2市場を支える構図になってきている。なお、当社ではBYDやATL、天津力神、BAK、CoslightをTier-1メーカーとみなしている。これら有力メーカー5社以外にも中国には数多くのTier-2メーカーが存在しており、当社ではそれらを通常の小型Liイオン電池市場や自動車用市場と区別して「第3のLiイオン電池市場」と位置付けている。

 こうした中で、電池材料市場については、中国新興メーカーの安価な材料が中国Tier-2電池や、小型電池のコモディティ製品を中心に存在感を高めてきている(図2)。

図2●Liイオン電池材料市場の置かれた現状
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 背景にあるのは、もともと価格競争力の高い中国材料メーカーの技術力の向上と、Liイオン電池メーカーのコストダウン戦略である。加えて、中国政府の各種支援策が中国材料メーカーの競争力向上の一翼を担っている。

 一方、日本や韓国を中心とする既存メーカーや新規参入を狙う大手化学メーカーにとっては、コストダウンを進めながら付加価値や高品質を追求し、自動車や高機能素材の市場を獲得する構図が強まっている。

 次に、各主要材料における中国Tier-2市場を含むすべてのLiイオン電池材料市場に占める中国メーカーの比率を示そう(図3)。これを通じ、各材料における直近の市場の実態をみていく。

図3●中国ローカル市場品も含めたLiイオン電池材料市場の実態
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