日本の大学の理工系研究室やベンチャー企業の研究開発を応援する「NE ジャパン・ワイヤレス・テクノロジー・アワード」。第2回の同アワードで編集部が選出した8件の候補について、読者の皆様への調査と5人の審査員による審査会を実施し、最優秀賞など3賞が決まりました。

最優秀賞
岩手大学 工学部 電気電子・情報システム工学科 本間研究室
MIMOで感度を高めたマイクロ波生体センサー
審査員特別賞
東北大学 電気通信研究所 加藤研究室
中空の管内で電波を飛ばす“電波ホース”
日経エレクトロニクス
読者賞
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 岡田研究室
平行2線路を用いるワイヤレス給電方式

 2014年4月のある日、都内某所に「NE ジャパン・ワイヤレス・テクノロジー・アワード 2014」の審査員5人が集まった。候補として選出されたワイヤレス分野の研究成果8件の中から、最優秀賞を決定するためだ。5人の審査員は熱い議論の末に、岩手大学を最優秀賞に選んだ。審査会の様子を振り返る。

 8件の候補に関する資料を読み込んできた5人の審査員に、まず、推薦したい技術を数件ずつ挙げてもらった。そこで審査員からの支持が比較的多かったのが、岩手大学 本間研究室の「MIMOで感度を高めたマイクロ波生体センサー」、東京大学 森川研究室の「同時送信型の省電力マルチホップネットワーク」、東京理科大学 柴研究室の「容量結合による体内─体外間通信技術」、東北大学 加藤研究室の「中空の管内で電波を飛ばす“電波ホース”」の4件だった。

 「重要な市場に適している」「応用範囲が広そう」「発想に意外性がある」など、推薦の理由は様々だ。審査会は、これら4件の候補を軸に、どの技術が最優秀賞にふさわしいかを議論していくことにした。

 「このアワードの最優秀賞では、技術的に尖っていることや、そこから大きく広がる可能性があることを重視したい」。ある審査員の発言に、他の審査員も大きくうなずく。画期的な進歩をもたらす研究開発を高く評価するという方針で審査していくことで一致した。