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HOMEクルマ技術の国、ニッポンの挑戦 > そのタクシー会社は、なぜ“機器メーカー”の道を選んだのか

技術の国、ニッポンの挑戦

そのタクシー会社は、なぜ“機器メーカー”の道を選んだのか

国内最大手がハードウエアベンチャーに異例の出資をした理由

  • 大槻 智洋=日経エレクトロニクス特約記者、TMR台北科技
  • 2014/05/28 00:00
  • 1/3ページ
 異例の投資はなぜ必要だったのか。筆者はこの答えを求めて、川鍋一朗氏に面会を求めた。同氏は、東京を拠点とするタクシー国内最大手の日本交通社長である(関連記事)。
 日本交通は2014年2月、ジェネシスホールディングスの6.25%の株主となった。ジェネシスは電子機器の企画や製造を手掛ける企業で、低価格家電の世界でよく知られる藤岡淳一氏が経営している。
 タクシー会社とハードウエアベンチャー――。一般的には接点がなさそうな二つの企業が結び付いた。実は、日本交通と同時にキングジムがジェネシスの6.25%の株主になっている。キングジムとジェネシスの結び付きは品質検査の委託だった。
 しかし、日本交通は出資前にジェネシスと直接の取引はなかったのである。それでも日本交通の川鍋氏は、「殿のご乱心ということでも構わないからやらせてくれ」と、ほかの役員を説き伏せたという。この裏には何があるのか。日本交通の川鍋氏とジェネシスの藤岡氏に思惑を聞いた。

(聞き手 大槻智洋=日経エレクトロニクス特約記者、TMR台北科技)
日本交通の川鍋氏(右)とジェネシスの藤岡氏
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「単なる移動」の提供では、将来展望を描けない

大槻 これまでタクシー事業で経営では何がポイントになっていて、それをどのように変えていきたいのでしょうか。ジェネシスへの投資は、日本交通の経営にどう貢献するのですか。

川鍋 タクシー会社は、100年ほど前から同じようなサービスを提供し続けています。それは、「クルマでA地点からB地点へと移動するサービス」です。日本交通は将来もそれを提供していきますが、私はそれだけでは展望を描けないと考えています。

 例えば、米Google社などが自動運転技術を開発していますね。この技術が一般的になったとき、タクシー運転手はどうなってしまうのでしょうか。コンピューターに置き換えられてしまうのでしょうか。タクシー会社は、そんなことにはさせない新しいサービスを開発し、それを提供していかなければなりません。

 自動運転の時代がやってくるのは先だとしても、現時点でタクシーのサービスを変えていかなければならない理由がもう一つあります。タクシーの仕事にやりがいを感じている運転手があまりに少ないという現状があるのです。

 従業員アンケートで、運転手が職場として日本交通を選んだ理由が、決して能動的なものではないということが分かりました。残念ながら「ほかに仕事が思い浮かばなかった」「家から近かった」といった回答が集まってしまったのです。タクシー運転手が「これといったスキルがない人が就く職業」になってしまっているのだとすれば、悲しいことですよね。

 タクシー会社には、そうした人材を拾い上げる役割もあるのかもしれません。でも、その現状に甘んじていてはならないでしょう。運転手には仕事に誇りを持ってもらいたい。そうでなければ、タクシー市場が活性化しません。このままの状況で自動運転が実用化されたならば、タクシー会社は運転手を解雇しなければならなくなりますよ。

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