「機密情報の漏えいを防ぐことは可能か」をテーマに、日本の半導体関連の企業や技術者が置かれている現状と機密情報の取り扱いの在り方を論じるSCR大喜利。最終回の今回は、半導体業界と同様に、日本から海外への技術流出が問題になってきた液晶パネル業界をよく知る、テック・アンド・ビズの北原洋明氏を回答者に招いた。同氏は、技術情報の流出問題に対して、業界団体であるSEMIの委員会で議論も行い、副委員長として取りまとめも行ってきた経験を持つ。2007年以降、この経験を活かして、ハイテク産業のアジアでのビジネスの橋渡しの業務に携わっている。
各回答者には、以下の三つの質問を投げかけた。
テック・アンド・ビズ 代表取締役
1988年から18年間、日本IBMでフラットパネル・ディスプレイの開発・製造・マーケティングを担当した。液晶ディスプレイの産業化が進んだ1990年台には、日本の多くの家電メーカーと競って技術・製品を開発し、業界をリードしてきた。2000年前後から韓国・台湾のメーカーの参入が進み、情報の流出に関する出来事も数多く経験。この問題に対して、業界団体であるSEMIの委員会で議論も行い、副委員長として取りまとめも行ってきた。2007年以降は、この経験を活かして、ハイテク産業のアジアでのビジネスの橋渡しの業務に携わっている。ディスプレイ製造の分野では、中国光学光電子行業協会液晶分会顧問なども務めながら、今後伸びてくる中国のディスプレイ産業と日本企業がうまく競業していくための道筋を作っている。
【質問1の回答】民生用ハイテク産業の技術や製品に限って言えば難しい
企業が収益重視で採算性の落ちた部門でリストラを繰り返せば、人材の移動に伴う情報の流出も必然的に起きる。有形の特定できる情報以上に各人材の頭脳の中にあるノウハウなどが重要な情報になり、人が動く限り情報の流出は防ぐことはできない。
さらに、民生用の機器や技術では、製品を分解調査し詳細な中身まで知ることができるので、最先端の情報も市場に出た途端に丸裸にされてしまう。