450mmウエハー・ラインに向けた装置・材料技術の存在意義がグラついている。半導体デバイスの製造において、ウエハーの大口径化は、生産性を向上させるうえでの正常進化とも言える技術開発項目だ。だが450mmウエハー対応技術は、開発の当初からその意義を疑う声があった。装置の開発の難しさと、実現までに費やす莫大な開発費、そして対応ラインを構築する半導体メーカーの数が限定されることから、装置メーカーが、開発費を回収できないリスクが指摘されていたのだ。

 それでも、米Intel社、韓国Samsung Electronics社、台湾TSMCなど、半導体メジャーと呼ばれる企業の要望に応えるかたちで、対応技術の開発が進められてきた。ところが近年、事情が大きく変わってきた。半導体メジャーといえども、450mmウエハー対応ラインの構築に大きなリスクが伴うようになった。

 今回のSCR大喜利では、「今、改めて問い直す450mmウエハーの存在意義」をテーマに、中立な立場から半導体業界の動向をウォッチしているアナリスト、コンサルタントの5人に三つの質問を投げかけた。アナリストやコンサルタントにとっては、専門分野のド真ん中のテーマということもあり、熱の入った回答が寄せられた。各回答者には以下の三つの質問を投げかけた。

【質問1】現在の半導体業界の状況を鑑みて、450mmウエハー・ラインの開発を進める意義を感じますか?

【質問2】450mmウエハー・ラインの開発を継続するための必要条件は何だと考えますか?

【質問3】困難な状況での開発の継続、または現時点での開発の中止、凍結で、製造装置メーカーには、どのような影響が及ぶと思われますか?

 回答者は以下の通り。

和田木哲哉氏
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
「現状を論理的に検討、450mmウエハーの必要性は全く感じない」参照

三ツ谷翔太氏
アーサー・D・リトル(ジャパン) マネジャー
「装置メーカーは無批判でのロードマップ追随はやめ、情報収集と技術提案を強化すべき」参照

服部毅氏
服部コンサルティング インターナショナル 代表
「450mmの意義はある、チャンスは日ごろから準備していた者にしかめぐってこない」参照

南川 明氏
IHSグローバル Technology 日本オフィス代表 主席アナリスト
「450mm対応装置の市場規模は300mm対応の1/4、参入企業は限られる」参照

石野雅彦氏
アドバンスト・リサーチ・ジャパン マネージング・ディレクター シニア・アナリスト
「450mm化よりもファウンドリービジネス対応の装置・材料技術が求められる」参照

表1●回答のまとめ
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