今回は新商品の事業性、すなわち商品の販売で得られる売上や利益など、収益的なメリットの大きさの検討・評価に関する、成功事例と失敗事例をご紹介したいと思います(以降、「商品」には「製品」と「サービス」の両方が含まれるものとします)。

 「日経ものづくり」2014年4月号の「10年の動きから見通すものづくりの将来」という市場調査記事の中で、製品の事業性検討の重要さを示す結果が出ています。製品の差異化によって優位性を確保できている理由と確保できていない理由が、2004年と2014年でどのように変化したか解説されています(図1図2)。

図1●差異化で優位性を確保できている理由
図1●差異化で優位性を確保できている理由
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図2●差異化で優位性を確保できていない理由
図2●差異化で優位性を確保できていない理由
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 この2つの図のデータから、製品の差異化で優位性を確保できている理由に関して以下の2点が見て取れます。

●2004年も2014年も、自社が保有する独自技術を優位性と認識している企業が最も多い(2004年:53.5% 2014年:42.1%)。

●独自技術により優位性を確保できていると認識している企業の割合は、2004年に比べて2014年では11.4%減少している。

 また、優位性を確保できていない理由に関して、データから以下の2点が見て取れます。

●2004年も2014年も、マーケティング力の弱さにより優位性が確保できていないと認識している企業が最も多い(2004年:41.0% 2014年:57.4%)

●マーケティング力の弱さにより優位性が確保できないと認識している企業の割合は、2004年に比べて2014年では約16.4%増加している。

 日本の製造業は「技術で勝って事業で負ける」と揶揄されることがよくありますが、この結果を見ると、それがデータとして表れているように見えます。さらに2004年と2014年を比較すると、技術による優位性確保の認識が減少し、マーケティング力の弱さによる優位性減少の認識が増加しています。今後、このような問題に対策を講じていく上では、商品企画・開発において、論理的・段階的に事業性を検討・評価していくことが1つのポイントになってきます。

 それでは、商品の事業性検討・評価に関する失敗事例から見ていきたいと思います。