植物工場は、温湿度や照明、養分濃度など制御しなければならない要素が多岐にわたる。しかし、それはIoTによる効果が畑作などよりも期待できるということでもある。実際、IoTによって制御の精度を高めることで、作物の品質や生産性を改善しようとする取り組みが進んでいる。

 例えば、福島県会津若松市の半導体工場を植物工場に転用したのが富士通グループである。国内に約30万人いる人工透析患者向けに、カリウムの含有量が通常よりも5分の1以下と少ないレタスの生産を2013年10月に開始した。

 この植物工場の特徴は、分散型の制御システムを採用していることだ。複数の装置が連携し、センサーからのデータ収集や空調などの制御を自動で実施している。分散型のシステムにすることで、栽培棚の増減や制御機能の拡充をしやすくしている。IoTによる細やかな制御によって、植物の成長に欠かせないカリウムを抑制しつつ、商品として十分な大きさに育てることを可能にした。

福島県会津若松市の植物工場で生産している低カリウムレタス
福島県会津若松市の植物工場で生産している低カリウムレタス
■参考文献
進藤,「あなたの知らないITの底力」,『日経コンピュータ』,2013年10月3日号,pp.26-41.