中国は、いまや世界の主要電子部品の供給地になっている。台湾の端末受託製造会社も数多く中国に進出し、拠点を設置している。中国系電子部品メーカーの実力は技術面でも経営面でも先行地域に追い付いてきており、世界のプリント基板産業へ一定の競争圧力を与えている。一方、最近は中国沿岸地域における経営環境が厳しさを増している。本稿では、中国の電子回路とプリント基板産業における現在の経営環境と発展動向について分析する。

世界最大のプリント基板生産基地、中国

 中国では、産業チェーンの川下分野となる電子機器の製造拠点がクラスター化している。このため、世界最大のプリント基板生産基地としての座は当分揺るがないだろう。2013年の世界全体に占める中国のシェアは44.4%。2017年には45.6%に上昇する見通しである。これに対し、韓国ではブランド戦略がプリント基板産業の成長を牽引している。生産ラインのほとんどは韓国内にある。2013年のプリント基板の世界シェアは14.8%と台湾の13.6%を上回り、世界第2の生産国・地域に躍進した。台湾企業は、両岸(台湾と中国)で製造をしているが、中国西部での製造比率が高まっており、台湾内での製造を圧迫している。しかし、台湾内における生産額は年率2%で今も成長を続けている(図1)。

図1 世界の主要地域におけるプリント基板の生産金額
出典:NT Information(2013年7月)
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 中国市場で生産されているプリント基板は、ニーズが最も多いミドルレンジとローエンドの片面基板・両面基板・多層基板である。これらが、2013年の中国製プリント基板に占める比率は60%以上といわれている。主な応用分野はパソコン、ノートパソコン、通信機器、個人向け電子機器などである。次に多いのがビルドアップ基板(HDI:high density interconnect)とフレキシブルプリント基板(FPC)で、主に携帯電話機などのモバイル機器に用いられている。しかし、IC基板分野では日本、台湾、韓国などにはるかに遅れを取っている。

 中国では多層基板が幅広い分野にわたり最も多く利用されており、個人向け電子機器にも用いられている。その次に利用されているのがビルドアップ基板とフレキシブルプリント基板、通信機器などに用いられている。ある調査によると、現在、世界全体のプリント基板メーカーは約2500社あり、このうち中国メーカーは1200社以上に達し、全体の半分を占めているという。