スマートフォン最大手の韓国Samsung Electronics社は、2014年2月開催のMobile World Congress 2014で旗艦機種となるGalaxy S5を発表した。しかし、同機種の部品ベースの年間想定数量※1は、従来の7000万~7500万台から6000万台へと低下気味である。

※1 業界コンセンサス

 理由は、13年のGalaxy S4の出荷台数が5000万台程度に終わってしまったことで、Samsung Electronics社が現実路線を採る可能性が高いことである。S5の生産(部品ベース)は、1Qが600万台程度と昨年のS4を上回り、2Qも2400万~2500万台程度と想定ペースを上回っている。だが、四半期単位では2Qが生産のピークとなる可能性もある。

 Samsung Electronics社は、14年もS4、S4 Mini、S3、S3 Mini、S2など、過去の旗艦機種及びその派生機種の生産を続けている。旗艦の新機種・既存機種、ハイエンド機種からローエンド機種まで、満遍なく展開することで、幅広い層の需要取り込みを図りつつ、(開発コストを回収済みの)旧機種を継続展開し、収益を確保する戦略とみられる。ローエンド機種に関しては、4.0~4.5インチクラスのパネルサイズで、TN(twisted nematic)液晶を採用した機種を新興国で大量投入すると見られ、要注目である。

 一方、タブレットPCに関しては、13年の約4000万台から14年は最低6000万台、可能ならば7000万台以上と相当アグレッシブな見通しを立てており、バリューチェーンへの恩恵が期待されている。スマートフォンと同様、Galaxy Note Pro※2をはじめとするハイエンドの大型サイズ製品から、7.0インチのGalaxy Tab 3のような普及価格帯製品まで、全領域の製品を手掛けることで、急成長の継続、米Appl社eへの猛追を図っている。

※2 ディスプレイサイズは8.4インチ/10.1インチ/12.2インチ

 しかしながら、4月に入ってからは中国などで過剰な流通在庫が目立つようになり、部品調達、製品生産に急ブレーキがかかっている。Samsung Electronics社の生産調整、部品発注調整がどの程度続くのか要注意である(現時点では1カ月強と見ている)。特に、液晶パネルと関連部材、タッチパネルと関連部材に与える影響が大きく、注視が必要である。