IoTは、さまざまなモノがインターネットに接続した状態を意味する(関連記事)。新しく登場した概念だけに、現状では「顧客やアナリストと話していても、とらえ方は人によってかなり異なる」(説明会におけるIntel社 Davis氏の発言)が、インテルの説明会における配布資料では「デバイスがインターネットに接続し、高度化するコンピューター機能を統合し、データ解析によって意味のある情報を抽出」される状態とする。大手ネットワーク機器ベンダーの米Cisco Systems社は、IoTをテーマとするWebサイトに「インターネットを介して接続された物理的なモノのネットワーク。個々のモノには内部状態や外部環境に反応するテクノロジーが組み込まれる」という定義を掲載している(Cisco Systems社のIoTサイト)。

 IoTでは自動車、自動販売機、メガネや腕時計といったウエアラブル機器、家電製品、工場の製造装置、病院の医療機器など、さまざまなモノがインターネットに接続されて、ほかのモノをコントロールしたり、あるいはコントロールされたりする。ネット経由でモノから収集した膨大なデータを分析することで、サービス品質の向上や新たなビジネスチャンスを検討する材料を入手することも期待できる。

 HP社のBolwell氏は前述のイベントで、最近注目するIoTの具体例として、米Kolibree社の「connected toothbrush」を取り上げた(写真)。これは、歯磨きの頻度や磨き残しなどを分析するセンサーを内蔵した歯ブラシ。センサーが収集したデータはBluetooth経由でスマートフォンやタブレットに送信され、スマホやタブレットのアプリがユーザーに正しい歯磨き方法をリアルタイムで指導する。スマホやタブレットのアプリから、かかりつけの歯科医にレポートを送信して、アドバイスを受けることもできるという。

IntelはIoT向けのセキュリティービジネスに着目

 IoTの普及に向けて、大きな関心を集めているテーマの1つにセキュリティーがある。例えば、ネット経由で電力使用量を収集するスマートメーターがハッキングされたら、正しい料金を徴収できなくなってしまう。窃盗犯が長期間留守の家を見つけ出すために、スマートメーターのデータを盗み見るかもしれない。

 特に問題になるのが、自動車のセキュリティーである。車載機器が外部から不正に操作されたら、下手をすれば搭乗者の命にも関わってくる。このため、セキュリティーをどのように確保するか、長年にわたって議論が重ねられている(関連記事