インターネットで不特定多数の人々から資金を集めるクラウドファンディング。従来はベンチャー企業や個人による活用が目立っていたが、事業創出の新たな資金調達手段として大企業も関心を寄せている。米良はるか氏は、日本初のサービス「READYFOR?」(レディーフォー)を世に送り出した人物だ。

 クラウドファンディングでは、アイデアやコンセプトへの他者の共感を引き出す姿勢が欠かせない。成功するプロジェクトでは、中核となるメンバーが強い思いを持っており、その「思いの渦」に周囲が巻き込まれる形で活動規模が広がるという。(リアル開発会議)

 レディーフォーでは、クラウドファンディングで資金調達を目指すプロジェクトの企画者を「実行者」と呼ぶ。それは、強い思いを持って実行する人を応援するプラットフォームでありたいからだ。この強い思いが周囲の共感や協力を呼び込み、大きなムーブメントにつながる。資金を提供した人々は支援者としての意識を持ち、共にプロジェクトを遂行する仲間になっていく。

米良はるか氏。Readyfor?代表(写真:加藤 康)
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 私自身、学生時代に強い思いを持って取り組んだ寄付金集めで、多くの人々に支援してもらった経験がある。

 大学3年生になってほかの学生と同じように就職活動を始めたものの、自分のやりたいことをうまく想像できなかった。一方で、個人が組織に頼らず活躍でき、頑張り続けるためにはどうすればいいかということに強い関心を抱いていた。

 そのきっかけはダニエル・ピンクという米国の作家が書いた『ハイ・コンセプト』(三笠書房)という本と出合ったことだった。そこには「社会のフラット化が進み、世界中の人がつながると、さまざまな物事を個人として実行できる人が生き残る」という内容が書いてあった。逆にいえば、ルーチンワークはアウトソーシングの対象になるということだ。そのような時代が到来したとき、どうすれば頑張る人たちを支援できるだろうかと思いを巡らせていた。