4月20日に開幕した北京モーターショーでは展示車両こそスポーティーなデザインやSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)が多いものの、日本メーカーはハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)、低燃費小型車など環境対応車を中国に積極展開する姿勢を示しています。2020年の厳しい燃費規制をクリアしつつ、環境対応車で自社の強みを出すことで、世界で一番競争が厳しい市場で販売台数やシェアを高めようという考えです。

 トヨタ自動車は、新型「カローラ」を公開し、2015年にはカローラのHEVモデルも販売すると発表(関連記事)。これまでの「カムリハイブリッド」「プリウス」「レクサスCT200h」、今年後半に販売する「レクサスNX」(関連記事)に加えて、大衆車にHEVモデルを加え「一気にHEVの普及を図りたい」(トヨタ自動車専務役員の大西弘至氏)との思いがあります。

 中国では企業平均燃費(CAFE)が2020年に20km/L程度といわれており、トヨタ自動車でも「HEVの販売台数を相当増やさないと厳しい数字」(大西氏)といいます。HEVを普及させるための鍵になるのが、早期のHEV現地生産です。世界最大の市場で販売するのに、いつまでも海外からの輸出に頼っていては対応には限界があります。

 トヨタは2015年にカローラHEVを現地生産するほか、ホンダもHEVユニットの現地生産の体制づくりを急いでいます。例えば、ホンダが出展した「Concept B」(関連記事)。2016年の量産を計画する車種ですが、車両にはHYBRIDのバッジがつけられています。量産時にはHEVになるかは未定としますが、「できるだけ早期にHEVの現地化を進めたい」(ホンダ)と言います。ホンダも2016年ごろにはHEVを現地化すると見られます。現地化では、HEVでコアとなる電池やインバーター、モーターを低コストで一定の品質で製造できるかがカギになります。

 日産自動車は、トヨタ自動車やホンダと比べると中国進出は後発ですが、小型車やEVで巻き返しを図る考えです。今年発売する4万元台の「R30」(関連記事)で価格競争力を示して内陸部でシェアを確保しつつ、リーフベースの「e30」(関連記事)で環境性能の高さをアピールします。EVは、充電インフラの整備など自社だけでは難しい課題もありますが、燃費規制への対応では武器になります。

 日本メーカーは、リーマンショックや領土問題、東日本大震災などで中国市場で欧米にシェアを奪われました。今回のショーを通じて、現地のサプライチェーンに深い根を張り巡らせるという、日本メーカーの強い意志が伝わってきました。