インターネットに接続するモノの数
出典:ガートナー
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 さまざまなモノがインターネットに接続している状態を指すIoT(インターネット・オブ・シングス)。IT業界に限らず、今後あらゆる産業で革新が起きる。既に、自動車や医療、農業などの分野では芽が出てきた。

 インターネットに接続する機器の数は、今後爆発的に増加する。米調査会社のガートナーによれば、2009年時点でインターネットにつながっていたモノの数はざっと25億個。そのほとんどは、PCやスマートフォン、タブレット端末といったコンピューターだ。これが、2020年には300億個以上に膨れ上がる。しかも、その過半数をコンピューター以外のモノが占めるまでになる。

 今後は、計測器やセンサーなど、もともと通信機能を備えていなかった機器もインターネットにつながってくる。さらに、医薬品や食品など、ネットワークに直接つながらないと考えられていたモノも、ICタグや2次元コードなどを活用することで、ネットワークを介して識別・把握できる。インターネットと現実世界が密接に連動し始めるのだ。そして、さまざまなモノとインターネットの融合が進むと、膨大なデータが生まれる。このビッグデータを活用することで、品質や生産性を飛躍的に高めたり、全く新しい製品やサービスを実現したりできるようになる。

 例えば、損害保険ジャパンの個人用自動車総合保険「ドラログ」が面白い。ドラログでは、自動車メーカーが集めた実走行データを利用することで、走行距離に応じて保険料を増減させるなどのサービスを提供している。企業や産業の枠を超えてデータや知見を組み合わせることで、付加価値を生み出せるのである。

 前出のガートナーの調査によれば、IoTが全産業にもたらす付加価値は、2020年に1.9兆米ドル(195兆円)に達する。製造業やヘルスケアを筆頭に、あらゆる産業がIoTを起爆剤として大きく成長する可能性を秘めているのだ。逆にいえば、IoTによる革新に対応できない企業は、時代に取り残されることになる。

2020年時点のIoTによる付加価値の産業別割合
出典:ガートナー
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