スマートフォンで実行したアプリケーションソフトウエアを車載機に表示して利用する――。米Apple社が2014年3月3日に発表した「CarPlay」はiPhoneと車載機とを連携するものだった。

 実は、一部のAndroid端末では、既にこうした仕組みが利用可能だ。自動車メーカーやスマートフォンメーカーが参加する団体Car Connectivity Consortium(CCC)が策定している「MirrorLink」に対応した機器が増えているからだ。トヨタ自動車が新興国向けのディスプレーオーディオ、ホンダが国内市場向けの「FIT」や「N-WGN」向けの純正ナビで対応するなど 、徐々に採用が広がっている。

 「Mobile World Congress 2014(MWC2014)」では、CCCがブースを設置し、ホンダ、トヨタ自動車、独Volkswagen社などが商用の車載機を用意して、来場者に向けてMirrorLinkの使い方などを示していたので、これについて報告したい。

動作モデルは「シンクライアント」

 まず、最初にMirrorLinkの仕組みについて説明しよう。MirrorLinkはCarPlayと同じく、スマートフォンと車載機をUSBで接続して利用する。スマートフォンの画面を車載機に転送するために、画面転送プロトコルのVNCを活用している(図1)。通話音声や音楽のやり取りにBluetoothを使うことも可能だ。

図1:MirrorLinkの仕組み
[画像のクリックで拡大表示]

 MirrorLinkはMirrorLink対応の車載機とMirrorLink対応のスマートフォンの組み合わせでのみ動作する。MirrorLink対応の車載機はアルパインや、ソニー、パイオニア、パナソニックなどが既に市場に投入済みである。MirrorLink対応のスマートフォンは、台湾HTC社の「HTC One」、韓国Samsung Electronics社の「Galaxy S4」、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z」などが対応している。現時点では、主にAndroid端末しか対応していないが、原理的には端末のソフトウエアプラットフォームを問わず利用可能だ(実際、フィンランドNokia社のSymbianを搭載した一部端末がMirrorLinkに対応している)。