創業100周年に売上高10兆円

創業100周年に売上高10兆円
創業100周年の2055年度に売上高 10 兆円を目指す
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 「樋口君、先の先を考えておかないかん」――。創業者(オーナー)の石橋信夫から厳しく言われ続けた言葉である。もちろん現状がものすごく大事だが、順調なときこそ危機感を持って、次のステップを考えなければならない。それが経営者の本分だ。

 12年ほど前に石川県能登で療養していた創業者から「樋口君、創業50周年の2005年度には売上高1兆5000億円を実現してくれるんやな」と言われた。「はい、もちろんです」と答えると、間髪入れずに「創業100周年では売上高10兆円」という言葉が飛んできた。

家庭用リチウムイオン蓄電池のパワーイエ・シックス(写真:大和ハウス工業)
家庭用リチウムイオン蓄電池のパワーイエ・シックス(写真:大和ハウス工業)
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ロボットスーツHAL(写真:大和ハウス工業)
ロボットスーツHAL(写真:大和ハウス工業)
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 その後、売上高10兆円を目指すために何が必要かを常に考えている。実現するには、内需中心の今の事業スキームだけでは無理だ。なぜなら日本の人口は減っていく。国内はせいぜい年間売上高4兆円が限度だろう。そうなると、残りの6兆円は海外に市場を求めるしかない。

 これから先、世界150カ国ぐらいに進出したいと考えている。だが、主力の建築関係の仕事をベースにしたやり方では難しい。建築や住宅の業界は、とにかく現場に多くの人手がいるビジネスだ。世界の多くの人々の役に立ち、喜んでもらうには、完成品の形で世界中に商品を届ける必要がある。

 ダイキン工業を良い事例と引き合いに出している。同社はエアコンという商品を世界に展開し、空調・冷凍機という商品分野で年間1兆7000億円を売り上げている。こうした商品分野が四つあれば年間6兆円を実現できる。

 そのために今から仕込んでおく必要があるのが、「フカケツノ」事業である。例えば、大和ハウス工業が出資しているエリーパワーのリチウムイオン蓄電池は、「カ」(環境)に関するビジネスである。これは完成品として、十分に海外市場を獲得できる可能性がある。既に世界で最も安全基準の厳しい第三者機関であるテュフ ラインランドの認証を取得している。

 同様に「フ」(福祉)や「ケ」(健康)関連では、「ロボットスーツ HAL」を開発したサイバーダインに出資している。ドイツではもう保険適用の認証が出ている商品だ。これから高齢者のリハビリに役立つだろう。