社内発も推進中

 「ツ」(通信)関連では、社内の研究開発部門の成果が成功に結び付いた。例えば、スマートハウスの要ともなる住宅用エネルギー管理システム「HEMS」は、国内だけでなく、2012年12月にはシンガポールの分譲マンションに採用された。

 このほか、先進国を中心に社会課題になっていく老朽インフラ対策でも、狭小空間点検ロボット「moogle(モーグル)」が、住宅リフォーム前の現場調査や簡易耐震調査での活用をはじめ、橋梁などの高所通路や共同溝など人が作業しにくい空間の点検で活躍している。

D\-HEMS(写真:大和ハウス工業)
モーグル(写真:大和ハウス工業)
左がD-HEMS、右がモーグル(写真:大和ハウス工業)
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 これらは、総合技術研究所の成果だ。「何のために研究所を造ったのか分かっているのか。大和ハウス工業発の独自技術で新しい商品づくりをするためだ」といつも発破をかけている。

 全社員からアイデアを募集する試みも始めている。現状で800件程度応募があり、そこから経営企画部が10件ほど絞ったものを報告してもらっている。「もうちょっと深掘りしなさい」「こういう点を調べた方がいい」と助言しているが、まだ成功には至っていない。

 社内から事業につながるアイデアが出てくればいいが、そう簡単にはいかない。だから、社内に加え、社外のアイデアやリソースをフルに活用するオープンイノベーション的な取り組みが事業規模拡大のスピードを上げるカギになっていくだろう。だから、社内と社外の両方で新規事業のネタにアンテナを張り続けなければならない。