半導体業界の今と未来を、さまざまな視座にいる識者が論じる「SCR大喜利」、今回のテーマは「ADASでパソコンの「Wintel」のような業界標準は生まれるか」である。日本市場で伸びている車載機器向け半導体で、今最もホットな先進運転支援システム(ADAS)向けについて考える。2人目の回答者は、GPU(graphics processing unit)の大手メーカー、米NVIDIA社でAutomotiveのSales Managerを務めている浜田勝氏である。
コンピュータ向けグラフィックスで強みを持つ同社はここ数年、車載機器向け市場の開拓に注力していた。そして、2014年1月の「2014 International CES」期間中に開催されたメディア・ラウンド・テーブルの中では、独Audi社の採用事例などを高らかに誇るまでになった。
米NVIDIA社 インダストリーセールスマネージャ
1996年にカリフォルニア大学サンディエゴ校の電気工学科を卒業後、日本アルテラに入社。フィールドアプリケーションエンジニアとして営業技術を担当。2005年テンプル大学フォックスビジネススクールにてMBA取得後、同年NVIDIA社に入社。Embedded Business Managerとして組み込み市場の戦略立案、新規開拓など担当後、2010年からAutomotiveのSales Managerとして従事。
【質問1の回答】コストや開発の効率性、また早期市場投入の重要性を考慮すると必要
ADASの開発では、既に開発プラットフォームの利用が始まっており、効果が得られている。例えばNVIDIAが現在供給している「Tegra K1 オートモーティブ ビジュアル コンピューティング モジュール(VCM)」も、自動車メーカーやサプライヤ企業によって、ADAS開発に使用されている。これは、高度な機能を低コスト、高効率、迅速に開発するために、開発プラットフォームの利用がもたらす効果を、利用者側も認識しているからだ。
NVIDIAは、自社のGPU上で動作する高度な運転支援機能を実行するアルゴリズムやソフトの開発に向けて、必要な開発環境を用意している。既に、「VisionWorks」と呼ぶツールキット、Tegra SoC用のボード・サポート・パッケージ(BSP)とスタンダードAPIを含めた「Vibrante」と呼ぶSDKを提供している。