インペリアルバレーとサンディエゴを結ぶ送電網「Sunrise Powerlink」(写真:SDG&E)
インペリアルバレーとサンディエゴを結ぶ送電網「Sunrise Powerlink」(写真:SDG&E)
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インペリアルバレーに建設されている太陽光発電所(写真:SDG&E)
インペリアルバレーに建設されている太陽光発電所(写真:SDG&E)
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Citizens Energy社が提供した太陽光発電システム(写真:Citizens Energy社)
Citizens Energy社が提供した太陽光発電システム(写真:Citizens Energy社)
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 米国カリフォルニア州の南東部に位置するインペリアルバレーは、アリゾナ州やメキシコに隣接しており、天候に恵まれた広大な土地を有している。このため、太陽光を含む再生可能エネルギーの開発の舞台となってきた。

 再生可能エネルギーの宝庫であるインペリアルバレーと、一大電力消費地であるサンディエゴを結ぶ、新たな送電網「Sunrise Powerlink」が2年ほど前に完成した。送電電圧は500kVで、全長は117マイル(1マイルは約1.6km)に及ぶ。実はSunrise Powerlinkは、メガソーラーなどの再生可能エネルギーの開発を促進するだけでなく、低所得世帯への太陽光発電システムの設置にも貢献している。

Google社もインペリアルバレーに投資

 Sunrise Powerlinkを計画・開発したのは、電力会社の米San Diego Gas & Electric(SDG&E)社である。総事業費は19億米ドル。許可認定作業や環境報告書のレビューといった5年間の手続きを経た後、建設に18カ月を要した。建設理由は、「2020年までに全販売電力量の33%を再生可能エネルギーによる電力から調達する」と定めた、カリフォルニア州の「Renewable Energy Portfolio(RPS)」(再生可能エネルギー特別措置法)を満たすためである。

 現在、Sunrise Powerlinkは、再生可能エネルギーで発電された最大872MWの電力を、インペリアルバレーからサンディエゴに送電している。送電している電力は「100%再生可能エネルギーによる電力である」と、SDG&E社 Senior Vice President of Power Supply のJames Avery氏は強調する。さらにAvery氏は「2015年末までに、最大2144MWの再生可能エネルギーによる電力が、Sunrise Powerlinkを通して運ばれる」との将来展望を明らかにした。2144MWのうちの1244MWは,インペリアルバレーで発電する計画だ。

 天候に恵まれたインペリアルバレーでは、太陽光発電所の建設計画が次々と明らかになっている。2013年11月には、最大出力130MW(交流換算)の太陽光発電所「Tenaska Imperial Solar Energy Center South」がインペリアルバレーで始動し、Sunrise Powerlinkに連系された。この発電所は米Tenaska社が所有している。米First Solar社がEPC(engineering(設計)、procurement(調達)、construction(建設))と保守を受け持った。

 さらにその隣には、最大出力139MW(交流換算)の太陽光発電所「Campo Verde Solar Facility」が完成した。こちらもFirst Solar社がEPCを担当した。所有は、米Southern Power and Turner Renewable Energy社である。

 現在建設中で米Silver Ridge Power社が所有する太陽光発電所「Mount Signal Solar」(最大出力265.7MW)に、米Google社が1億300万米ドルを投資すると表明した。この発電所は、2014年中に完成し、SDG&E社と長期電力供給契約を結んで電力を供給する。