新しいビジネスを創る他の方法は?

 さて話を戻しましょう。では、「困った」を見つける以外に「新しいビジネスの仕組みを創る方法」、すなわち「提供価値」と「ニーズ」をうまくマッチングする方法があるでしょうか?

 一番簡単な誰でも思いつく方法は値段を下げることです。しかし、この方法は全ての企業が採用して成功するというような優れたやり方ではないことは言うまでもありません。最近までのデフレ下の日本では、激しい値段競争が展開され、体力のない多くの企業の脱落が相次いだことからもそれは明らかです。

 では値段以外にビジネスの仕組みをうまく作るにはどのようにすればよいのでしょうか?

 過去いろいろな手法でビジネスの仕組みが提案されてきました。特にマーケティングという分野では次から次へと新しい方法が編み出されては試されてきました。

 例えば、「便利」に着目する方法もその一つです。

 その名の通り、コンビニエンスストアのような小売形態が考え出され、多くの企業が参画してきました。またワンストップ窓口で顧客のニーズを全て吸収してしまう方法もあります。顧客にとってとても便利であり、昔から御用聞きなどの形で広く知られていましたが、流通やITなどの新しい技術も取り入れながら進化しています。

 このように人びとは「便利」に着目してきましたが、参入障壁はそれほど高くない場合が多いので当然競争は激しく、多くの淘汰が起こっています。

 それでは何に着目し、どのような手を打てばよい仕組みを創ることが可能なのでしょうか。