人の行動情報から流行度合い抽出

 患者自身あるいは家族などの行動、つまり「ライフログ」を集約して統計値を取るものもある。ほぼリアルタイムに近く、疾患の流行状況が分かる。ここでいう行動とは、例えばツイッターでのつぶやきや、インターネットでの検索を指す。

 人の行動から風邪の流行状況を導き出すサービスの一例は、エスエス製薬の「カゼミル+(プラス)」である。地域(都道府県)ごとにどのような症状の風邪が流行しているかを確認できる。ツイッターでのつぶやきを地域別に抽出、内容を解析して「のどの痛み」「鼻水・鼻づまり」「熱」というように症状別に分類してWebサイト上で表示する。

 検索サイトの検索件数の変化からも流行状況をつかめる。Yahoo! JAPANは2013年12月に、「流行性感染症に関するビッグデータレポート」を公開した。Yahoo!検索およびYahoo!検索(リアルタイム)での検索件数と、インフルエンザをはじめとする感染症の流行度の相関関係を調べたものである。

 2012年1月に、初めてインフルエンザをテーマとしたレポートを公開。同6月には、流行し始めてから収束するまでの推移を追った「インフルエンザ状況マップ」を報告した。今回は、ノロウイルス、手足口病などの感染症についても分析している。

 これを見ると、ある抗インフルエンザ薬の名称の検索件数の増え方と、厚生労働省が出している患者報告数の増え方がほぼ一致している(図2)。つまり、抗インフルエンザ薬の検索件数の推移から、インフルエンザの流行状況が分かる。同レポートにあるように、都道府県別の検索分布などから、流行地域の移り変わりも把握できる。

図2 Yahoo! JAPANが報告した流行性疾患に関する検索数解析の結果
左はある抗インフルエンザ薬の名称の検索数とインフルエンザ患者報告数の相関(写真:Yahoo! JAPANのビッグデータレポートより引用)
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