結構な評判のクロスオーバーSUVハイブリッド車

 だが、エコカー一辺倒の状況も、近年は改善されてきているようだ。同氏は前述の記事の中で、「エコカーブームも昨年ぐらいから少し潮目が変わってきた印象がある」と記している。その上で、「以前のSUVブーム再来とは言わないが、様々なクロスオーバーSUVハイブリッド車が登場し、結構な評判と売れ行きを示している」と喜びを隠さない。

 古巣のトヨタが、新型ハリアーハイブリッドを2013年12月に発売したことも、同氏にとってうれしい知らせだったようだ。同氏は、発売直後の2014年1月に、早くも新型ハリアーハイブリッドを借用し試乗。その上で「山道、雪道や高速道路をかなりアグレッシブな運転をした総合燃費はインパネ表示で14km/Lを超えるぐらい、渋滞気味の首都高速では19km/Lに迫る燃費を記録していたので、エコ運転をしなくとも実燃費15km/Lは難しくない」とその性能を評価した。

 ただ、さすがにエコカーへの流れを作った当事者である。新型ハリアーハイブリッドに対しては、手放しで喜ぶのではなく、しっかりと辛口の注文を付けている。

 「この程度の燃費性能、低CO2排出では『SUVはガソリンガブ飲みのハイCO2エミッター』と非難するアンチSUV勢力へのクルマ屋からの回答としては不十分である。SUVエコカーとの宣伝文句にはいささか抵抗を感ずる。一方で、パワフルな走行性能や運転のダイレクト感、V8やV6/L6エンジンの音色を好むアンチエコ派のユーザーを転向させるにはまだ力不足である。米国専用のこうした大型SUVや欧州のプレミアムSUVに引導を渡せるぐらい魅力あるクロスオーバーSUVが、次もまた日本勢からの提案で出現することを期待している」。

 確かに、同氏が指摘しているようにエコ一辺倒ではつまらない気がする。エコに気を配りながらも、乗る(走る)喜びも提供してくれるクルマ。そんなクルマを認めてくれる社会であってほしいと願うのは、八重樫氏だけではないだろう。