「我々の調査では、子供1人当たり、だいたい年間1万円は使ってくれますね」――。子供が年間1万円を支出するもの。それは、ゲームセンターなどにある、100円を入れて遊ぶ、子供向けのアーケードゲームです。

 「子供が1万円も使うのだろうか」と疑問に思いましたが、複数のアーケードゲーム機メーカーの担当者が、同じことを主張します。実は、わが子も2013年夏ごろから、あるアーケードゲームを始めました。ICカードに記録されたプレー回数を、恐る恐る確認してみると、既に60回程度に。なるほど、納得しました。

 ご存知の方も多いでしょうが、ゲームセンターで人気の子供向けゲームの主流は、プレーするごとにキャラクターが描かれたカードやメダルを排出するものです。カードやメダルのバーコードやICタグを読み込むと、カードに描かれたキャラクターが画面に登場します。

 手持ちのキャラクターでゲーム中のキャラクターを倒すと、進化した自分のキャラクターや、倒したキャラクターのカードやメダルがもらえる仕組みです。強いキャラクターやレアなキャラクターを入手するために、何度もプレーしたくなるというわけです。レアなキャラクターは、ネットなどで高値で売買されています。

 子供たちがゲームをするのは、昔風の薄暗いゲームセンターではなく、スーパーやショッピングセンターにある、いわゆるゲームコーナーです。昔風のゲームセンターの売り上げが伸び悩む中で、ショッピングセンターなどの子供向けは活況を呈しています。週末になると、5~10歳くらいの子供でにぎわいます。1プレーが5~10分のため、6人並べば30~60分待ちです。それを何度も繰り返します。

 アーケードゲーム機メーカーも、子供向けに注力しており、新たなゲームが続々と登場しています。目立つためなのか、ディスプレイ寸法はどんどん大きくなり、演出も派手になる傾向にあります。また、ゲームコーナーに行けない日にもゲームに接してもらおうと、家でカードやメダルを使って遊べるおもちゃの販売が増えてきました。

 週末に集まる子供の数を見ると、子供向けアーケードゲームの活況は、しばらく続くと感じます。好調な市場を狙って、カードなどの情報をゲーム機に読み込む技術(現在はバーコードやICタグなど)や、ゲーム機とおもちゃを連携する技術(現在はバーコードや無線LANなど)、カードやメダルが売買されるのを防ぐ技術(現在はゲーム機内部でユーザーの名前を入れたカードを印刷するなど)、さらにはディスプレイ、入力装置といった、アーケードゲームのあらゆる構成物で、新たな技術が登場しそうです。

 ちなみにわが家は、アーケードゲームを始めたのを機に、お小遣い制に移行しました。子供たちは今、祖父母の財布を狙っているようです。アーケードゲーム機メーカーによると、祖父母とゲームコーナーに来る子供が増えているといいます。そうした高齢者を狙って、大人用のアーケードゲーム機で難易度を下げた「らくらくモード」も用意しているとか。アーケードゲーム機メーカーの術中に、すっかりはまってしまいました。