専門性や立場の異なる複数の識者が半導体の今と将来を論じる「SCR大喜利」、今回のテーマは「微細化終焉後の人間社会を展望する」である。長年、半導体の進化のドライバーであり続けてきた微細化技術は今、限界に近付きつつあるとされる。もし本当に微細化が止まってしまったら、電子機器の進化、さらには人類社会には何が起こるのか。半導体技術者や、業界の動きを常に追うコンサルタント、研究者など4人に聞いた。
各回答者には、以下の三つの質問を投げかけた。今回の回答者は、半導体ユーザーの立場からの意見として、いち半導体部品ユーザー(ペンネーム)氏である。
某ICT関連企業
【質問1の回答】2025年ごろに設備投資の課題と代替技術の登場で止まる
これまでにも何度も微細化は止まると言われながらも続いてきている理由は、技術開発もあるがそれ以上に世の中が求めているからだと考える。世の中が必要と言っているから、技術開発や設備投資の資金をねん出できる。
今後の半導体の必要性を考えると、これまで以上の伸びで需要が増すことは確実である。機器だけではなく、これまで半導体とは無縁だったもの、例えば食品や衣服、人体までにも半導体が搭載されることは容易に想像される。膨大な数量の半導体を作り出すための微細化を含めた技術開発、設備投資は必ず達成されなければならないだろう。
ではいつ微細化が止まるかは、代替技術の登場時期によると考える。つまり微細化をしなくても世の中の要求が満足できれば、それ以上微細化をする必要はないということだ。従って、技術的にはさらに微細化が可能であっても実施する必要がない時に止まると予想する。どのような代替技術に置き換わるかは未知だが、微細化の投資対効果も無視できなくなるので2025年ごろまで7nm程度のプロセスが当面の目標になるだろう。